兵庫県洲本市宇山の農園で、ミカンとレモンが収穫シーズンに入った。淡路島は「花とミルクとオレンジの島」と売り出すほどかんきつ類の生産が盛んだったが、県南淡路農業改良普及センターによると、輸入品との競争や少子高齢化で2020年の作付面積はピークだった1973年の5分の1になった。そんな中で3世代続き、収穫体験の受け入れや洋菓子向けの販売に力を入れる老舗農園がある。週末の一日を追った。(荻野俊太郎)
1955(昭和30)年に創業した平岡農園。洲本市街地と大阪湾が見える丘陵地にある。2年前に96歳で亡くなった先代の平岡龍麿(たつまろ)さんが8千平方メートルの土地を開墾し、スコップを手に1本ずつミカンの木を植えたところから始まった。
■8千本
現在、約6万平方メートルにミカンとレモン計約8千本が植わり、爽やかな香りが漂う。ライムも生産している。
午前8時、作業場兼売店で、代表の平岡万希さん(67)が従業員に連絡事項を伝える。開園は午前9時。収穫作業とミカン狩りの準備で慌ただしい。
ミカンもレモンもまだ緑色だ。収穫に適しているのか、大きさや皮の質感はどうかなどを確かめながら選んで、摘み取る。従業員の高峰敏子さん(78)は「今年は晴れの日が多くて出来がいい」と満足そう。
市場を通さず直売する。島内外の商談会に参加し、販路を広げてきた。レモンは、芦屋市の洋菓子ブランド「アンリ・シャルパンティエ」でケーキやフィナンシェに、東京の帝国ホテルで料理の彩りやデザートにそれぞれ使われているという。
万希さんは「直売は、営業活動や個人向けの通販サイトの管理など全て自前で大変だけど、品物の良さを直接説明できる利点は大きい」と力を込める。
■手間
レモンの栽培を始めたのは2000年ごろ。ミカンと並んで収益の柱だった庭木栽培がバブル崩壊で低迷し、新たな活路を求めた。レモンの人気は根強い上、輸入物が大半を占める中で国産は重宝され、農園の経営を支えている。
この時期は、実が地面につかないように枝をひもや棒で支え、小さい実を間引く。少しでも実に傷が付けば病気になるという。万希さんの義理のおい平岡良太さん(43)は「どの作物も手間がかかるが、中でもレモンは気を使う」と精を出す。
■酸味
午前11時、農園は収穫体験の親子連れでにぎわう。はさみを使ってミカンを摘み、口いっぱいに頬張る子どもたち。「甘くておいしい」「酸っぱい」と豊かな表情を見せた。
「極わせ温州(うんしゅう)」という品種は、甘さの中に酸味を残すことで味に深みが出るそうで、食べ飽きない。良太さんは「昔ながらのミカンの味を目指している」。
昼過ぎ、レモン狩りの団体が到着した。丹波市の70代の女性は「国産のレモンを収穫できる場所は貴重」とうれしそうだった。
■後継
収穫体験が一段落した午後3時ごろ、売店ではレモンの出荷作業が行われていた。この日分の注文は200件超。1個ずつタオルで拭き、手際よく箱に入れていく。足りないと収穫担当者が追加で取ってくる。
作業は配送業者が来るまで続いた。午後5時半、この日の営業が終わった。
良太さんは栽培に携わって21年目。幼少から父の滋さん(73)が農園で働く姿に接し、高校卒業後に東京で農園経営などを学んだ。
規模の拡大に伴い、人手の確保や安定生産など課題は多いが、後継者として「買った人が喜ぶ顔にやりがいを感じる」といい、「次の世代につなぎたい」と先を見る。
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