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一柳慧さん
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一柳慧さん

 斬新な前衛音楽で現代音楽をけん引した作曲家、ピアニストで文化勲章受章者の一柳慧(いちやなぎ・とし)さんが7日午後0時37分、東京都内の病院で死去した。89歳。神戸市出身。葬儀は近親者で行う。後日、お別れの会を開く予定。喪主は長男慶(けい)氏。

 作曲を平尾貴四男さんに師事。高校時代に音楽コンクール(現・日本音楽コンクール)作曲部門で1位に2回輝いた。19歳で渡米。米ジュリアード音楽院で学び、米国を代表する前衛音楽の作曲家ジョン・ケージさんらと実験的な音楽活動を展開した。

 帰国後、ケージさんが追求した「偶然性の音楽」を日本に紹介し、図形楽譜などを用いた前衛的な作品を次々と発表。雅楽や邦楽器などを含む幅広いジャンルの作品を手がけた。代表作はピアノ協奏曲第1番「空間の記憶」、交響曲「ベルリン連詩」、モノオペラ「火の遺言」など。

 尾高賞、サントリー音楽賞などを受賞。1985年、フランス政府から芸術文化勲章オフィシエを受けた。99年紫綬褒章、2005年旭日小綬章。08年文化功労者に選ばれ、18年に文化勲章。

 神奈川芸術文化財団芸術総監督も務めた。著書に「音を聴く」「音楽という営み」など。オノ・ヨーコさんの元夫。

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 神戸で小学生時代を過ごし、現在は国内外で活躍する指揮者・チェンバロ奏者の鈴木優人さん(41)も、偉大な作曲家の死を悼んだ。

 鈴木さんは2018年から3回、神戸市室内管弦楽団のプロジェクトで一柳さんの作品を取り上げた。「故郷の神戸のプロジェクトがとてもうれしそうで、いつも温かく励ましてくれた」と振り返る。

 昨年は神奈川県立音楽堂の企画で、一柳さんの希望に応じ、短いファンファーレを作曲した。「こんないい曲を先にされたら困るなあ、と言ってくださったことが忘れられない。先生は常に自由で、こちらがいくら大胆なことを言っても驚かせることが難しいくらい。懐の深さを感じていた。神戸が誇る作曲家。もっといろいろ教わり、お話ししたかった」と悼んだ。(松本寿美子)

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