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 霊感商法や高額献金などが問題となっている世界平和統一家庭連合(旧統一教会)とその関連団体について、神戸新聞社は9月9~20日、兵庫県と県内41市町に、過去の接点や今後の考えについてアンケート形式で尋ねた。「関係を持つべきではない」とする自治体が多かったが、旧統一教会だけを排除する根拠は明白でなく、国や県に基準設定を求める声もあった。

 ■首長

 アンケートで旧統一教会との接点が「あった」と答えた首長は石井登志郎西宮市長、牟礼正稔赤穂市長、山本実たつの市長の3人。いずれも関連団体が行ったイベント「ピースロード」に関係し、具体的には「表敬訪問の受け入れ」「イベントに出席」「イベントに祝電」などだった。たつの市長は市長交際費から激励金5千円を支出していた。

 イベント出席を依頼された伊藤舞芦屋市長も「あった」と答えたが、実際は断ったという。佐伯謙作播磨町長は「分からない」。「町長として多くの住民と接する中、一人一人がどのような団体に属しているか把握することは難しい」と理由を記した。

 首長として、旧統一教会との関係性はどうあるべきか。選択で聞いたところ、西宮市長、たつの市長を含む36人が「関係を持つべきでなく、実際に持たない」を選んだ。

 「関係を持つべきではないが、実際には難しい」を選んだ芦屋市長は「慎重には対応するが、関係性が認識できないこともあると考えられるため」とした。

 清元秀泰姫路市長は「その他」を選択。「今は問題視されているが、問題を解決し、団体の体質が変われば、将来的に関係を持つことが悪いとは一概に言えない」としている。

 ■自治体

 アンケートでは、自治体としての接点も聞いた。イベントへの職員出席、後援名義の使用許可、寄付の受け入れなどが確認されたのは神戸、姫路、伊丹、赤穂の4市だった。

 過去の接点について、自治体として「調査している」「これから調査する」と答えたのは26市町と兵庫県。アンケートの回答期間後には、県立高校2校が2017~22年、計5回にわたり、旧統一教会の関連団体所属の大学教員に、性教育をテーマとする講演を依頼していたことが分かった。10月5日の県議会決算特別委員会で、県教育委員会が認めている。

 一方、15市町は「しない、する必要がない」と答えた。理由の多くは「接点がないため」だった。

 旧統一教会との今後の関係性について自由記述で尋ねたところ、「関係を持たない」など否定的な回答が多かったが、「根拠がない」とする自治体も。丹波市は「現時点で他団体と差別化する根拠がないので、法令、例規に基づいた対応をすべきだ」とし、「特別な対応が必要になるなら、国や県でその基準を設定してほしい」と求めた。

 ■基準は

 旧統一教会だけでなく、宗教団体から寄付や後援名義の使用許可などの依頼があった場合、どう対応すべきか。その判断基準が「ある」と答えたのは6市町。小野市は「政治団体、宗教団体とは一切関わらない基準がある」。宝塚市は後援について「特定の宗教団体の活動に関わるものは対象外とするよう基準を設定している」とした。

 憲法で「政教分離」が定められる一方、地域社会の一員となっている宗教団体もある。自治体からは対応の線引きが難しいとの回答も寄せられた。

 洲本市は「宗教団体と公的機関が関係を持つべきではないのが前提だが、宗教色の強い団体かどうかは、関係を持たないまま判断するのが難しく、一切の拒絶は現実問題として難しいかもしれない」。

 尼崎市は「霊感商法など不適切な活動が客観的、社会的に明白になっている団体でない限り、行政が恣意的に民間団体に対し、検閲や制限をすることは慎重であるべきだ」とし、排除するためには都道府県公安委員会から指定されている暴力団のように明らかな要件が必要との見方を示した。

 一方、明石市は「宗教と政治は一定程度の接点があり、適切な関係が問題なのであって、一切関わってはいけないというのはおかしい。政治と宗教の関わりをタブー視する日本の文化が旧統一教会問題を見えにくくしている」と答えた。(まとめ・高田康夫)

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