日本で最初の鉄道が1872(明治5)年10月14日に東京・新橋~横浜間で開業して150年。そんな節目の年だが、令和の神戸に明治の橋桁(はしげた)が現役で活躍していることは知られていない。
太平洋戦争による空襲も阪神・淡路大震災も乗り越え、今も人々の暮らしや物流を支えるその橋桁はJR三ノ宮駅(神戸市中央区)の東側の跨道橋(こどうきょう)で、上下線のプラットホームを支えている。他の桁と同じようにきれいに塗装されており、素人目には分からない。
設計者は1882(明治15)年に建築師長となったお雇い英国人技師、C・A・ポーナルである。明治時代に鉄道橋として主に採用された鉄桁は力学的に構造が単純で製作も容易なプレートガーダーという。資料によると、ポーナルは1885年に日本で初めて径間20フィート~70フィートに及ぶ鉄桁を設計したといい、官営鉄道や私設鉄道で大量に製作、使用された。ポーナルの設計思想は近年まで継承されていたというから、日本の鉄道発展に彼が果たした役割は非常に大きい。
さて、大阪~神戸間に日本で2番目の鉄道が開通したのが1874(明治7)年5月11日。当時、線路は地上を走っており、三ノ宮駅は現在の元町駅付近にあった。1931(昭和6)年、灘~鷹取間の神戸市内高架化と共に、三ノ宮駅は現在の位置に正式移転した。その際、どこからかポーナルの桁を転用したと思われる。
三ノ宮駅でこの桁が使われていることに気付いた鳥瞰(ちょうかん)図絵師の青山大介さん(46)=神戸市西区=は、JR西日本に詳細を問い合わせた。しかし、JR西が旧国鉄から承継し、土木技術センターで保存している図面や台帳などを確認したところ、この橋桁に関する情報は得られなかったという。その際に大阪環状線や阪和線などでホーム桁などに再利用されたという記録が残っていたそうだ。
現地を案内してくれた青山さんによると、ポーナル桁の特徴は補剛材の上下の端部が外側に曲がっており、一目で分かる。「正確な製造時期は分かりませんが、明治初期に造られたとしたら、江戸時代生まれの職人さんが携わった可能性もある。そんな桁が令和の世まで現役で頑張っているなんて、ロマンを感じませんか」と青山さん。
1995年1月17日の阪神・淡路大震災で三ノ宮駅は甚大な被害を受け、特に西側はホームなどを大幅に作り直している。しかし、東側のポーナル桁は奇跡的に難を逃れたのだ。
もう一つ、ポーナル桁の存在をアピールしているのが、この桁の部分だけ、ホームの屋根を支える柱がない点である。耐荷力不足となるからか、この桁の長さに相当する部分は屋根をトラスで支えていることが、ホームを外側から見渡した写真からも見て取れる。
さて、三ノ宮駅東側では、神戸市によるバスターミナルビルの建設など大規模再開発計画が進んでいる。それに合わせて、JR三ノ宮駅に新たな東口を造るという構想も聞こえてくる。ホーム東側が大規模に改良されれば、ポーナル桁は姿を消すかもしれない。現地には、明治の近代遺産ともいえる(現役ですが)この桁を紹介する案内板も何もないが、鉄道150年を機に、人々の暮らしを、物流を支えてきた、まさに「縁の下の力持ち」に注目が集まれば、と願う。
鉄道はまさに夢を運んできた。高架下は歴史を語る。
(長沼隆之)
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