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全国の災害被災地から高校生が参加した「BOUSAIゼミな~る」。災害の体験や教訓をどう伝えるか、話し合った=神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
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全国の災害被災地から高校生が参加した「BOUSAIゼミな~る」。災害の体験や教訓をどう伝えるか、話し合った=神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
防災や被災経験の伝え方について、大人も交えて話し合う高校生たち=22日午後、神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
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防災や被災経験の伝え方について、大人も交えて話し合う高校生たち=22日午後、神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
被災者と未災者とをつなぐ言葉について話し合う高校生たち=22日午後、神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
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被災者と未災者とをつなぐ言葉について話し合う高校生たち=22日午後、神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
被災者と未災者とをつなぐ言葉について話し合う高校生たち=22日午後、神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
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被災者と未災者とをつなぐ言葉について話し合う高校生たち=22日午後、神戸市中央区脇浜海岸通1(撮影・鈴木雅之)
兵庫県の斎藤元彦知事(右端)、神戸市の久元喜造市長(右から2人目)ら首長、学識者らが討論した「ハイレベルセッション」=神戸市中央区、人と防災未来センター
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兵庫県の斎藤元彦知事(右端)、神戸市の久元喜造市長(右から2人目)ら首長、学識者らが討論した「ハイレベルセッション」=神戸市中央区、人と防災未来センター

 災害を経験していない「未災者」が、防災を「自分事」として考えるには-。神戸で22日に開幕した「防災推進国民大会」(ぼうさいこくたい)には、全国の高校生ら若い世代も多く集まり、日々の取り組みを発表し合った。被災地と、これから災害が起こるかもしれない「未災地」をつなぐため、新鮮な発想で体験の伝え方を考えた。

 「下水の泥をスプーンで3杯、田んぼの泥を2杯、雑巾をしぼった水を1杯。これを混ぜると、水害で水が引いた後のにおいになります」

 ワークショップ「BOUSAIゼミな~る」(宇和島NPOセンター主催)では、岡山県立矢掛高校の生徒が水害のにおいを再現するレシピを発表した。生徒が持参した泥のにおいをかいだ一般参加者は顔をしかめた。

 同校のある矢掛町は2018年夏の西日本豪雨で被災。2年の佐藤史弥さん(17)は「においで水害のつらさを伝えるアイデアは自宅が浸水した生徒が考えた。この泥で怖さを感じて、防災意識を高めてほしい」と呼びかけた。

 BOUSAIゼミな~るは2年前から、各地の高校生たちがオンラインなどでつながって交流。この日は福島や愛媛など5校の生徒12人が対面で集まった。

 兵庫県からは灘高校(神戸市東灘区)が参加。2年の湯川友太さん(17)は、同校が阪神・淡路大震災で避難所や遺体安置所になったこと、東日本大震災の被災地への訪問を続けていることなどを紹介した。湯川さんは「自分が直接体験していないことを伝えるのは本当に難しいけど、何ができるのか考え続けたい」。

 ほかの高校生からも「防災ゲーム」や「合同避難訓練」などのアイデアが披露された。

 また、環境防災科のある県立舞子高校(神戸市垂水区)は別のワークショップで、独自の「防災宣言」づくりに挑戦。生徒11人と参加者たちが「家族は大事」「誤った情報は伝えない」「他人事から自分事へ」などと、鍵になる言葉を書き出していた。

 防災教育の課題を探るセッションもあり、兵庫県立大の木村玲欧教授は「重要なのは未災者をどう巻き込むか」だと指摘した。

 学校現場では教える側、学ぶ側の双方に「体験しておらず、被災者でもない自分が伝えていいのか」といった戸惑いや不安が根強くあるという。防災教育学会会長で、舞子高校環境防災科の初代科長を務めた諏訪清二さん(62)は「平和教育のように、経験していなくても語り継げる。防災教育が空気のような、もっと当たり前の存在になってほしい」と強調した。(金 慶順、上田勇紀)

■「国民全員が日頃から備えを」 国連代表や兵庫県知事、神戸市長ら討議

 「ぼうさいこくたい」では、斎藤元彦・兵庫県知事や久元喜造・神戸市長と防災の専門家らが次の災害にどう備えるべきかを話し合うセッションもあった。

 近い将来の発生が懸念される南海トラフ巨大地震、度重なる水害など、災害リスクは高まるばかり。その背景には気候変動の影響もある。セッションでは、国連で防災を担当する水鳥真美・事務総長特別代表が「災害は今や、世界中の人にとって自分事だ。起きる前にどう減災できるかが大きな課題」と警告した。

 「災害リスクを軽減するには、ハード整備だけでなくソフト対策も大事」と指摘したのは斎藤知事。「貧困や孤立化など災害で顕在化する課題に日頃から取り組まないといけない」と述べた。久元市長も「阪神・淡路大震災は想定外だったが、今後はあらゆる角度から想定外をなくし、想定内にしなければいけない。行政の対応力を高めて縦割りや横割りをやめなければ」と強調した。

 一方、兵庫県立大大学院の阪本真由美教授は、防災専門の行政職員育成が大事としつつ、「防災を行政に委ねすぎている。国民全員が災害対応に取り組む体制を」と訴えた。(井川朋宏)

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