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望さんが残した線画に小百合さんが色を足し、新たな命が吹き込まれた姉妹の合作
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望さんが残した線画に小百合さんが色を足し、新たな命が吹き込まれた姉妹の合作
飲酒ひき逃げ事故で亡くなった浜口望さん。将来を期待される美術大生だった(家族提供)
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飲酒ひき逃げ事故で亡くなった浜口望さん。将来を期待される美術大生だった(家族提供)
浜口望さんの残した絵に囲まれる(左から)母雅子さん、父栄俊さん、妹小百合さん=神戸市中央区
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浜口望さんの残した絵に囲まれる(左から)母雅子さん、父栄俊さん、妹小百合さん=神戸市中央区

 7年前の飲酒ひき逃げ事故で亡くなった神戸市出身の美術大生、浜口望さん=当時(23)=の遺作展が、29日から朝来市で開かれる。アーティストになる夢を抱いて個性豊かな絵画を手掛けたが、突如人生を断ち切られた。「アートで世界をハッピーに」。遺志を継いだ両親とグラフィックデザイナーの妹、そして作品にみせられた人たちが、初の個展開催にこぎつけた。(竜門和諒)

 父の栄俊さん(58)、母の雅子さん(60)=神戸市中央区=によると、望さんは物心つく前から絵に興味を示し、3歳で目の前の景色を立体的に描いた。六甲アイランド高校(神戸市東灘区)に進み、国際コンクールで入賞する腕前になった。

 好奇心旺盛で、何事にも前向き。中学2年の時には北海道から大阪まで2週間かけて自転車で走り、高校卒業後は非政府組織(NGO)が企画した世界一周の船旅に参加した。

 21歳で女子美術大(相模原市)に入学すると、創作に没頭した。多く描いたのは女性の裸体や自画像で、作風は「グロ・ポップ」。怪異さと軽さが同居する独特のスタイルで、教員にも将来を期待された。

 「本当に、ずっと楽しそうだった」と雅子さん。しかし2015年、家族の元に悲報が届く。8月23日、神奈川県葉山町で酒を飲んだ男が運転する車が海水浴帰りの人らを次々とはね、1人が亡くなった。望さんだった。

 翌年2月、東京・銀座で初の個展を控えていた。

    ◆  ◆

 家族の暮らしは一変した。両親は各地の講演会で、飲酒運転の再発防止を繰り返し訴えた。望さんの絵にメッセージを入れたポスターも作った。被害者家族としての使命感からだったが、亡き娘のことを思うと「しんどくて、つらくて、心が壊れそう」(栄俊さん)だった。

 望さんの個展を開きませんか-。そんな話が朝来市のカフェ店主、南谷雄大さん(37)から持ちかけられたのは今年5月。望さんの妹でグラフィックデザイナーの小百合さん(27)と仕事で知り合い、望さんの絵に引かれたという。

 小百合さんは才能あふれる姉の背をずっと追いかけてきた。ライバルであり、一番の理解者だった。しばらくはその死を受け入れられなかったが、「たくさんの人に見てもらおう」と訴える南谷さんの熱意に心を動かされた。

 「アーティストになるはずだった『のんちゃん』(望さん)の夢。なんとかしてあげたい」

 残された多くの線画に、小百合さんが色を乗せた。モノクロの世界が青、黄、ピンクに染まった。「のんちゃんの絵に命が吹き込まれるよう」。両親には姉妹が楽しげに共同制作しているように思えた。

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 小百合さんが考えた会場のコンセプトは「楽しくて、お祭りのような、自分がアートの一部になれる空間」。それは望さんがスケッチブックに書き残していた言葉とも重なる。

 姉妹のコラボ作品約60点を含む約100点を展示する。「たくさんの絵を残してくれてよかった。ありがとう」と雅子さん。栄俊さんは「娘のこと、そして飲酒運転の危険さを知ってもらうきっかけになれば」と願う。

 個展はカフェ「スティックスコーヒー」(朝来市山東町金浦)で、11月6日まで。午前11時~午後5時(土日曜と祝日は午前10時~午後7時)。入場料100円。同店TEL079・676・3600

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