1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件で逮捕された「少年A」=当時(14)=に関する全ての事件記録が廃棄されていた問題で、神戸家裁は27日、記録が廃棄されたのは2011年2月28日とみられると明らかにした。事件を管理する旧システムの複製データに、廃棄の日付が記録されていたという。
神戸家裁は、当時の担当職員らに対する調査や被害者遺族への説明について「最高裁の有識者委員会の意見を踏まえて対応したい」とした。この問題では、神戸新聞が同事件の記録廃棄を今月20日に報じ、各地の家裁で重大少年事件の記録廃棄が判明。最高裁は25日、有識者委でこれまでの記録保存の運用を検証する方針を示している。
家裁によると、旧システムのデータには97年~19年の9万件を超える少年に関わる事務的な事件の記録があり、25日に連続児童殺傷事件の廃棄日とみられる日付が分かったという。
最高裁の内規では、一般的な少年事件の記録は、少年が原則26歳に達するまで保存すると決められ、史料的価値の高い記録などは事実上の永久保存となる「特別保存」とするよう定めている。連続児童殺傷事件の少年Aは08年に26歳になっていた。
神戸家裁は20日に同事件での全記録廃棄を報道陣に説明したが、廃棄した時期や理由は「不明」としていた。同家裁は旧システムのデータについて「正式な書類ではないが、記録された日が廃棄日時の可能性が高い」と説明した。
最高裁は重大少年事件記録の相次ぐ廃棄が分かり、全国の家裁に確認して特別保存された事件記録が15件あることを確認した。一方、連続児童殺傷事件のほかにも、00年の愛知県豊川市の夫婦殺傷事件や、04年の長崎県佐世保市の小6女児殺害事件など、各地で複数の重大事件の記録が廃棄されていたことが分かっている。(篠原拓真、小川 晶、井上太郎)
【少年事件記録の廃棄】1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件など、全国各地の家庭裁判所が、重大な少年事件の記録を廃棄していた問題。少年事件の記録は一般的に、審判の処分決定書に加え、検察や警察による供述調書、精神鑑定書、家裁調査官の報告書などが含まれる。成人の刑事裁判と異なり少年審判は非公開で、事件記録が失われると、審議過程の検証ができなくなる。少年事件記録は、保存期間が内規で原則「少年が26歳に達するまで」と定められ、それを過ぎると廃棄される。ただし、最高裁は運用に関する通達で、史料的価値の高い記録は永久保存(特別保存)するよう義務づけている。
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