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体罰防止策の一つとして「学校をガラス張りにすること」を挙げる兵庫教育大の森田啓之教授=兵庫県加東市下久米
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体罰防止策の一つとして「学校をガラス張りにすること」を挙げる兵庫教育大の森田啓之教授=兵庫県加東市下久米

 部活動の顧問らによる子どもへの体罰が絶えない。9月には私立姫路女学院高校(姫路市)のソフトボール部顧問(当時)がユニホームを忘れた1年生部員を殴り、大けがを負わせた。体罰が社会問題化する中、なぜ、手を出してしまうのか。「根絶の第一歩は、スポーツの特性を知ること」と指摘する兵庫教育大大学院の森田啓之教授(59)=体育・スポーツ原論=に聞いた。(有島弘記)

 ■体罰の構造

 -体罰はいけないと繰り返し周知されているが、なぜ起こるのか。

 「スポーツにはまず、暴力的な構造がある。例えば、より高く、より速くと、今の自分を否定して上に行こうとする。スポーツを競技的にやっていく仕組みに暴力性が内在され、競争は他者を抑え込んで上に上がることを意味する」

 -そのようなスポーツが学校で、部活動として行われている。

 「今回(姫路女学院高の体罰)は学校教育的な生徒指導とみられ、学校も会見で『(顧問は)自分に厳しく、生徒にも厳しく当たる傾向があった』と言っていた。(一般論として)子どもたちは、そうならないといけないと思い、『自分ができていなかったから悪いんです』と言ってしまう。学校教育の中で行われているからこそ、(体罰を)甘んじて受け入れる構造になっている」

 -体罰は仕方ないと考える指導者もいるようだ。

 「みんないい選手になりたい。指導者も『これがいい選手なんだ』と意識的にも無意識的にも求め、そのずれから体罰が起こってしまう。『熱心な人ほど手が出る』と言うが、自分の思い通りになっていない選手がいると行き過ぎてしまう。事実として熱心さをコントロールできる人と、できない人がいる」

 ■不安の発露

 森田教授によると、教員志望の学生が大学で部活動の指導を学ぶ機会はほぼなく、体罰の温床になっている可能性があると指摘する。

 「(新任の先生は)いい指導者をモデルにしようとするが、自分が教える種目にしか求めないから、学校にはまずいない。部活動で根本的に悩ましいのは指導者の評価が競技成績という事実。(実績以外の)いい指導者はオープンになりにくく、よそ(他校)で結果を残して目立っている人を(モデルに)選ぶパターンが多い」

 -その指導者がきつい言葉を吐く人なら、まねしてしまうことになる。

 「そうです。規律面の指導でも、自分の教えている子たちがそうじゃなければ『自分はできない指導者』となり、不安の極みとして暴言や体罰が生まれる。つまり、自分を守るために強く出る。最初は『子どものため』と言いながら、指導者としての自分が不安定にならないように強くやってしまう」

 ■防ぐ方法

 体罰防止として研修を実施するなどの対策も取られているが、森田教授は教員の意識が重要と考える。

 「研修は新しい気付きになるが、仕方なく行っている人の学びは薄い。学ぶ姿勢がある先生は大丈夫だが、そこがないと子どもからも学べないし、子どもの変化に気付けない」

 -他に有効な方法は。

 「ガラス張りにすること。部活動について検討する場をつくり、各クラブの顧問、主将、校長、地域の人が入る。『そんなことをやっているのか』と、お互いを相対化する。学校として常にガラス張りにすることで変わってくる」

もりた・ひろゆき 兵庫教育大大学院教授、体育・スポーツ原論が専門。卓球やソフトボールの経験者で、同大学ソフトボール部監督。競技団体では全日本大学ソフトボール連盟事務局長などを務めた。共著に「『いじめ』と『体罰』その現状と対応」がある。松山市出身、59歳。

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