• 印刷
神戸新聞NEXT
拡大
神戸新聞NEXT
神戸連続児童殺傷事件の記録廃棄問題への対応も話し合われた兵庫県の「犯罪被害者等支援条例検討委員会」=4日、兵庫県庁
拡大
神戸連続児童殺傷事件の記録廃棄問題への対応も話し合われた兵庫県の「犯罪被害者等支援条例検討委員会」=4日、兵庫県庁

 神戸家裁が、神戸連続児童殺傷事件の記録を廃棄していた問題で、神戸新聞社が双方向型報道「スクープラボ」で市民の意見を募ったところ、家裁の対応を疑問視する声が大半を占めた。廃棄の経緯の調査についても「最高裁による検証を踏まえて対応する」と上級庁にげたを預けた格好になっており、「世間一般に納得できる状況でない」「公的機関としての役目を果たしていない」など批判的な見方が相次いだ。(小川 晶)

 最高裁によると、一般的な少年事件の捜査書類や審判記録は、少年が26歳に達するまで保存すると内規などで規定。その上で、史料的価値などを認めた事件は、永久保存とするよう定めている。

 神戸家裁は、少年法改正の契機にもなった1997年の連続児童殺傷事件の記録について「2011年2月末に廃棄した可能性が高い」と説明。一方で、その経緯や特別保存としなかった理由などは「不明」としている。

 家裁のこの対応について、スクープラボには多くの厳しい意見が寄せられた。

 尼崎市の40代女性は「一般企業でも、書類の保管は徹底している。重大な事件を扱う組織として、廃棄した経緯が不明というのはずさんで恥ずべきこと」と指摘した。神戸市の40代女性は「廃棄に疑問に感じる職員はいなかったのか、違和感を持って相談した職員もいなかったのか」と疑問を投げかけ、高砂市の60代男性は「当の被害者の方々や、第三者の心にも刻まれた事件だけに、『重要』と思わない気持ちが情けない」とした。

 一連の経緯について、神戸家裁は、被害者やその家族に説明する予定はないとしている。寄せられた回答の中には、被害者遺族の心情を察するコメントもあった。

 兵庫県香美町の40代男性は「今後の法改正などで閲覧の可能性がある物を廃棄してしまうなど言語道断」と指弾。「わが子を失っただけではなく、司法にまで苦痛を味わわされることになるなんて。『調査はしない』などという家裁の見解は、子を持つ人間としては非常に腹立たしい」と怒りをにじませた。神戸市の50代女性は「何があっても記録は戻らないが、家裁には、ご遺族をはじめ関係者に対して経緯の説明をする道義的義務がある」と記した。

 永久保存としなかった判断について、基準や制度の曖昧さなどに言及する意見もあった。神戸市の50代女性は「当時は(永久保存の)ボーダーラインが明記されておらず、どこの裁判所でも同じように廃棄されていたのでは」と問題提起した。加西市の50代女性は「紙の資料だと、保管場所がとられるため、廃棄ということになったのもあるのでは。莫大(ばくだい)な量ではあるが、データで残すという選択肢はなかったのかと思う」とした。

  ◆ 

 神戸新聞社は、神戸家裁による連続児童殺傷事件の記録廃棄問題について、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で調査しました。期間は10月29日~11月1日の4日間で、兵庫県内を中心に715件の意見が寄せられました。なお、この意見募集は読者やユーザーの声を聞き取る目的で、無作為抽出の世論調査とは異なります。

     ◇

 神戸新聞社は、読者の投稿や情報提供を基に取材を進める双方向型報道「スクープラボ」に取り組んでいます。身近な疑問や困りごとから、自治体や企業の不正告発まで、あなたの「調べてほしい」ことをお寄せください。LINEで友だち登録(無料)するか、ツイッターのダイレクトメッセージで投稿できます。皆さんと一緒に「スクープ」を生み出す場。ご参加をお待ちしています。

神戸スクープラボ成人未満失われた事件記録
もっと見る
 

天気(9月10日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 50%

  • 32℃
  • ---℃
  • 70%

  • 35℃
  • ---℃
  • 60%

  • 36℃
  • ---℃
  • 60%

お知らせ