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草間弥生さんが手がけた作品「南瓜」を視察する斎藤元彦知事(右)。突堤に設置され、直島のシンボルにもなっている=香川県直島町
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草間弥生さんが手がけた作品「南瓜」を視察する斎藤元彦知事(右)。突堤に設置され、直島のシンボルにもなっている=香川県直島町
瀬戸内海に浮かぶ島々。美しい自然もインバウンドの評価を集める=香川県直島町
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瀬戸内海に浮かぶ島々。美しい自然もインバウンドの評価を集める=香川県直島町

 2025年の大阪・関西万博を見据え、兵庫県が瀬戸内海沿岸地域との連携を模索している。とりわけ注目するのが、海外でも「アートの島」として人気の高い香川県の直島だ。同じく25年には3年に1度の「瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)」が開かれる予定で、多くのインバウンド(訪日客)が見込まれる。兵庫は大阪と四国の結節点に当たり、地の利を生かして誘客を狙う。

 瀬戸内海に浮かぶ直島は、高松市からフェリーで約50分。人口約3千人ながら、国内外の有名作家が手がけた野外展示や、一流の現代アートを楽しめる施設がそろう。海外の旅行ガイドブックでは、東京や京都と並んでお薦めエリアの常連に挙がる。

 瀬戸芸は10年、香川、岡山両県の島や港を舞台に始まった。前回19年の4回目は117万人が訪れ、うち約24%がインバウンド。今年は5回目の開催年で、兵庫県の斎藤元彦知事は会期終盤の11月3日、現地で美術館事業などを展開する福武財団の案内で視察した。

 建築家の安藤忠雄さんが設計し、瀬戸内の景観を損なわないよう建物の大半が地中に埋められている「地中美術館」や、美術館とホテルが一体化した「ベネッセハウスミュージアム」などを見学。前衛芸術家の草間弥生さんの屋外作品で、直島のシンボルにもなっている「南瓜」や、「家プロジェクト」と題してアート空間に生まれ変わった古民家や寺社も巡った。

 直島のアートは、島々が浮かぶ瀬戸内海の風景や昔ながらの路地など「その土地の魅力を生かしているのが特徴」(福武財団)という。斎藤知事も「豊かな自然と現代アートが融合し、固有の価値を発信している。作品のインパクトも強い」と感心。万博で兵庫県が構想する「フィールドパビリオン」は、地域そのものをパビリオンに見立てて独自の体験を提供する試みで、「直島の取り組みはヒントになる」とも話す。

 大阪市の人工島・夢洲が舞台となる大阪・関西万博は2800万人超の集客を見込むが、21年10月~22年3月にアラブ首長国連邦(UAE)で開かれたドバイ万博よりも会場が小規模なため、来場者が「大阪以外」に足を延ばす機会も多いとの見方がある。

 斎藤知事は香川県の池田豊人知事とも面談し、関係強化で合意。連携の糸口として「兵庫県内にも安藤忠雄さんが設計した建築物は多く、姫路と小豆島(香川県)を結ぶ航路もある」と語る。第2回の瀬戸芸開催時(13年)には、淡路市と直島を高速船でつないだ例もある。今後、両県の担当者で具体的な協議を始めるという。(田中陽一)

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