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最高裁と神戸家裁に要望書を提出した後、記者会見する斎藤元彦知事(左)と正木靖子弁護士=24日午後、兵庫県庁
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最高裁と神戸家裁に要望書を提出した後、記者会見する斎藤元彦知事(左)と正木靖子弁護士=24日午後、兵庫県庁

 1997年の神戸連続児童殺傷事件の全事件記録が廃棄されていた問題で、兵庫県が来春制定を目指す「犯罪被害者等支援条例」の内容を検討する委員会は24日、廃棄の経緯の調査、公表などを求める要望書を最高裁と神戸家裁に提出した。斎藤元彦知事と会見に臨んだ検討委委員長の正木靖子弁護士は「市民感覚の欠如と言える裁判所の体質が問題。重大事件の記録を廃棄しないよう、なぜ立ち止まれなかったのかを検証してほしい」と訴えた。

 同条例の検討委は県が設置し、犯罪被害者家族や学識者、被害者支援団体の関係者らで構成。同事件で次男の土師淳君=当時(11)=を亡くした父の土師守さん(66)も委員を務める。

 要望書では、少年法改正につながった同事件の記録を「国民の財産というべき資料」と指摘。犯罪被害者らの視点に立った心のケアなどの取り組みを進める上で重要と位置付け、「記録廃棄で事件の検証が永久に不可能になった責任は重大」と強調した。真相解明を願う犯罪被害者遺族への「二次被害」とも言及し、事件記録を廃棄した経緯の調査結果公表と遺族への丁寧な説明を求めた。

 最高裁と神戸家裁に県職員が出向き、検討委がまとめた要望書を提出した。裁判所側は「適切に対応する」などと述べたという。要望書には斎藤知事名義の送付状が添えられた。

 斎藤知事は「要望書の趣旨に共感している。行政として県民、市民に寄り添い、同様の事案が発生しないよう申し入れた」と説明。正木委員長は「事件記録の廃棄は、将来の真相解明を期待していた犯罪被害者に大きなショックを与えた。裁判所は被害者らに丁寧に説明すべきだ」と話した。

 神戸連続児童殺傷事件を含め、全国の家裁では10月以降、社会の耳目を集めた重大な少年事件の記録廃棄が相次いで判明した。最高裁は運用が適切に行われていたかを有識者委員会で検証する方針で、25日に初会合が開かれる予定。最高裁は同事件の記録を巡り、廃棄した当時の神戸家裁職員らに聞き取り調査を実施した。(金 旻革)

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