理化学研究所(理研)のスーパーコンピューター「富岳」を管理運用する計算科学研究センター長の松岡聡氏(59)が、コンピューターの進歩に貢献した個人に贈られる「シーモア・クレイ賞」に選ばれた。スパコン界で最高峰ともされる賞で、日本人では3人目の快挙という。
松岡氏は高性能計算機システムが専門。東京工業大が手がけるスパコン「TSUBAME」シリーズや、「富岳」の開発指揮などでスパコン界を長く牽引してきた。そうした点が評価され、10月、受賞者に選出された。
11月15日、米国テキサス州で開催中の高性能計算技術に関する国際会議で授賞式があり、翌16日には松岡氏の記念招待講演が開かれた。
同賞の名称は「スパコンの父」とも称されるシーモア・クレイ氏に由来する。松岡氏は「コンピューターを知ってからはシーモア・クレイが私のヒーローだった。その名を冠する賞を受賞できて大変光栄」と喜び、「何百人、何千人の仲間とやってきた仕事が評価されてのもので、心から感謝しています」と語った。
松岡氏は2014年、スパコンを利用する際の独創性を評価する「シドニー・ファーンバック賞」にも選ばれている。同一人物が両賞に輝いたのは史上初めて。スパコンの開発、使用の両面で貢献してきたことを示す受賞となった。(勝浦美香)