第10回の節目となる神戸マラソンは、男女の優勝経験者8人がゲストランナーとして名を連ねた。女子の第3回大会覇者の田中千洋さん(53)=兵庫県小野市出身=は8年ぶりに出場し、苦悶の表情でフィニッシュ。東京五輪1500メートル入賞の長女希実選手に出迎えられ、3時間43分21秒で93回目のマラソン完走を遂げた。
第1、2回は2位で、第3回は2時間36分53秒の大会新記録(当時)で初優勝。第4回は3位で4大会全て表彰台入りした。
今年8月の北海道マラソンで久々に大会に出場。今大会に向けては、左脚を痛めて約3週間前に練習を再開したばかりで、最長で20キロを1度走っただけ。沿道やランナーから激励され、力をもらったという。
今大会、千洋さんが出場することで希実選手が大会ゲストを引き受けたという。中学生時代は沿道から声援を送られたが、今回は壇上から手を振られ「不思議な感じがした」と笑った。昨年の東京五輪、今年の世界選手権と目覚ましい活躍を見せる姿にも、競技者としての自身を重ねてか「(レースを)見ているだけで気持ちが疲れて、走る気になれなかった」と明かす。
それでも、マラソン完走100回の金字塔まであと7回。「途中棄権は一度もないので、これからも完走を続けてどこかで達成したい」と瞳を輝かせた。
(井川朋宏)
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