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アルバムを開き、長女の玲さんをしのぶ松本邦夫さん(左)、和代さん=芦屋市内
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アルバムを開き、長女の玲さんをしのぶ松本邦夫さん(左)、和代さん=芦屋市内
松本玲さん(両親提供)
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松本玲さん(両親提供)

 アルバムをめくると娘の快活な声がよみがえり、今も涙があふれる。中央自動車道笹子トンネル(山梨県)で天井板が崩落して9人が死亡した事故は2日、発生から丸10年となった。道路会社の幹部らは不起訴となり、遺族にとって真相解明の道は閉ざされた。松本玲さん=当時(28)=を亡くした兵庫県芦屋市の両親は、企業の刑事責任を問う「組織罰」の必要性を訴え続けている。

 事故は2012年12月2日に発生。玲さんは東京のシェアハウスで一緒に暮らす友人らと車で山梨県へ出かけ、事故に遭った。車は天井から落下した巨大なコンクリート板につぶされ、炎上。身元はDNA型鑑定で4日後に判明した。

 事故後、両親の邦夫さん(71)、和代さん(71)のもとには、シェアハウスの住人から多くの写真が届いた。仲間との旅行。祭りの法被姿。飲み会でジョッキを傾ける姿…。友人に恵まれ、幸せな毎日を過ごしていたことが伝わってきた。

 現行刑法では、重大事故が起きても個人の罪しか問われない。甲府地検は、トンネルを管理する中日本高速道路の役員らを不起訴とし、捜査は終結した。「刑事裁判で真相が明らかになると信じてきたのに」。両親の落胆は大きい。

 邦夫さんは16年4月から、尼崎JR脱線事故の遺族らとつくる「組織罰を実現する会」の副代表を務める。「安全対策を怠った企業の責任を追及して原因を究明しないと、また事故は起きる」。惨事をなくすため「まだまだ声を上げていきたい」と語った。(山岸洋介)

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