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「フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫神鍋高原」の客室=豊岡市日高町栗栖野
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「フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫神鍋高原」の客室=豊岡市日高町栗栖野
マウンテンバイクやスキー板などを置けるロッカーを備える「フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫神鍋高原」
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マウンテンバイクやスキー板などを置けるロッカーを備える「フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫神鍋高原」
全6室の民宿旅館「別邸ICHIJO」=兵庫県香美町香住区下浜(撮影・長谷部崇)
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全6室の民宿旅館「別邸ICHIJO」=兵庫県香美町香住区下浜(撮影・長谷部崇)

 兵庫の但馬地域で宿泊施設の開業や改装が相次いでいる。「アフターコロナ」を見据えて観光需要の増大に備えるとともに、人手不足に対応した自動化や地域のにぎわいを促す刷新も目立つ。2025年の大阪・関西万博も視野に、温泉や高原リゾート地を擁する後背地の強みを生かす。(丸山桃奈)

 ■「マリオット」開業

 11月1日、積水ハウス(大阪市)と米大手ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルが「フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫神鍋高原」を豊岡市日高町で開業した。

 新ホテルは全73室で、1室(25平方メートル)1万4520円から。市街地のビジネスホテルと同じく、リゾート地にして宿泊特化型とした。館内レストランを設けず、客室はシャワーのみ。夕食と入浴は、神鍋高原にある道の駅や温浴施設のほか、城崎温泉街まで足を延ばしてもらい、地域のにぎわいづくりにつなげる。

 両社は全国各地の道の駅周辺でリゾートホテルを展開し、岐阜、京都など9道府県20カ所に開設した。兵庫では来夏までに養父、淡路、南あわじで計画する。25年までに26道府県で計約3千室を供給する計画だ。

 マリオットのカール・ハドソン氏は「(コロナ禍後の)海外旅行先として、日本は最も人気のある国の一つ」と強調。式典に同席した斎藤元彦兵庫県知事は万博もにらみ、県内観光の振興に向けて両社とさらなる連携を模索する意向を示した。

 ■3割強が改築や改装

 城崎温泉では、ホテルや旅館の改装が相次ぐ。豊岡市によると、同温泉街の全76の宿泊施設のうち、3割強が改築・改装に着手。いずれも既存観光地の再生を図る国の補助金を活用したという。

 その一つ、「川口屋城崎リバーサイドホテル」は21年に始めた工事を11月10日に終えた。団体旅行の需要減に対応し、150畳の大宴会場をなくして食事スペースを個室化。全客室(33室)のユニットバスをシャワー室にし、館内の大浴場と外湯に誘導する。垣谷託司社長は「アフターコロナに突入し、社会経済活動が新しくなる中、平和産業の観光業を通じて地域の活性化につなげたい」と話す。

 城崎温泉のほか、兵庫県新温泉町の湯村温泉では「快眠」をテーマに関連サービスを提供する旅館が5月にオープン。豊岡市の竹野海岸では愛犬と泊まれる旅館が11月に登場した。ズワイガニの水揚げ拠点である同県香美町でも、新規オープンの動きがある。

 民宿旅館「さだ助」の運営会社Saika(サイカ=香美町)は昨年9月、「別邸ICHIJO(イチジョ)」を開業した。2階建ての全6室で、延べ床面積は約630平方メートル。スムージー専門店を併設した。チェックインや精算を自動化し、調理を本館と一元化するなど、業界の人手不足に即して省力化を図る。

 ■「カニ頼み」では衰退も

 「カニに頼った経営では衰退も考えられる」(松下孝樹専務)との危機感が、コロナ禍での開業に踏み切らせた。同社は町内で飲食店やキャンプ施設を展開。さまざまな地魚料理で顧客づくりを進めており、松下専務は「外国人も憩える宿を目指す」と意気込む。

 芸術文化観光専門職大学(豊岡市)の中尾清教授(観光学)は「東京や箱根、京都、大阪を巡るインバウンドが、地方の城下町や温泉街などに足を延ばし始めたころにコロナ禍が広がった」と指摘。「海外の温泉は水着で、日本は裸で入るという文化の違いが楽しめる。コロナ後も地方を訪れるインバウンドは増えそうで、食と温泉が誘客の鍵になる。(双方がそろう)但馬も注目されるのでは」としている。

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