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水泳の授業で使われているプール。多くの小中学校で改修が必要な時期を迎えている=加古川市加古川町備後、加古川中学校(加古川市教育委員会提供)
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水泳の授業で使われているプール。多くの小中学校で改修が必要な時期を迎えている=加古川市加古川町備後、加古川中学校(加古川市教育委員会提供)

 兵庫県加古川市教育委員会が、小中学校の水泳授業の民間委託を検討している。市立39校のうち26校のプールが耐用年数とされる築40年を超えており、多額の改修費を抑えるとともに、教員の負担を軽減するのが狙いだ。民間スポーツクラブ(SC)のプールを使ったり、特定の学校に移動して民間インストラクターに児童生徒を指導してもらったりすることを計画。2023年度に5校で試験的に導入する。(斉藤正志)

■「1校1プール」負担重く

 水泳授業の民間委託は全国的には増えつつあるが、兵庫県教委体育保健課によると、県立高校では導入例がなく、県内の公立小中学校についても「聞いたことがない」としている。

 加古川市教委によると、同市立小中学校では、市民プールを利用している浜の宮小を除き、39校にプールがある。昭和40~50年代に整備された27校は一斉に老朽化が進み、うち13校は築50年を超える。改修などの更新には1カ所で2億~3億円程度かかる見込み。

 現状の「1校1プール」は、教員による水質管理などの負担も大きい。塩素剤を投入して塩素濃度を一定に保つ必要があり、早朝や休日の勤務につながっているという。

 こうした問題に対応するため、水泳授業の民間委託の検討に着手。プールを全て維持した場合、23~38年度に計約42億円かかるのに対し、民間委託すれば経費は計約40億8700万円になると試算した。少子化が進めば、さらに委託費は下がる見通しだ。子どもにとっては、専門性の高いインストラクターの指導を受けられる利点もあるとする。

■学習評価は引率教員

 市南部、東部地域では、児童生徒がバスでSCに行き、インストラクターの授業を受けることを想定する。市北部、西部地域は近くにSCがないため、特定の学校に移動し、インストラクターの派遣を受ける形を考えている。

 試験実施の23年度は、氷丘南小、陵南中は民間のプール活用を計画。平荘小、上荘小、両荘中については子どもを両荘中に集め、インストラクターが授業を行う方針。子どもの学習評価は、引率する教員が担う。

 市教委は補正予算案に関連費用として約2千万円を計上。試験実施した5校の児童生徒や教員、保護者らの声を聞き、24年度以降の方針を決める。市教委教育総務課は「プールは夏場の限られた期間しか使わないが、維持管理の負担は大きい。試験的な民間委託の結果を検証し、全市的に広げるか、一部にとどめるのかなどを考えたい」とする。

■水泳授業の民間委託 国は推進、全国で事例

 水泳授業の民間委託は、国も「学校施設の老朽化対策」などから推進の立場だ。文部科学省が2020年にまとめた事例集では民営プールの活用例として、佐賀県伊万里市や千葉県佐倉市などを紹介している。

 事例集によると委託の利点は、プールの維持管理コスト削減▽教員の負担軽減▽衛生環境の安定▽屋内プールで天候に左右されない授業▽インストラクターの効果的な指導-など多岐にわたる。伊万里市は送迎も含め委託しているという。

 加古川市教育委員会は、大阪府和泉市などの取り組みを参考にした。和泉市では市立小中全30校の委託に向け、21年度からモデル実施校を順次増やしている。 

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