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細長いプレートが敷かれた軌道を走る神戸市営地下鉄海岸線の車両=神戸市兵庫区浜中町1、市営地下鉄海岸線御崎公園駅
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細長いプレートが敷かれた軌道を走る神戸市営地下鉄海岸線の車両=神戸市兵庫区浜中町1、市営地下鉄海岸線御崎公園駅
神戸市営地下鉄海岸線の軌道に敷かれたプレート。アルミでできている=神戸市兵庫区御崎町1、御崎車両基地
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神戸市営地下鉄海岸線の軌道に敷かれたプレート。アルミでできている=神戸市兵庫区御崎町1、御崎車両基地
神戸市営地下鉄海岸線の台車下のモーター
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神戸市営地下鉄海岸線の台車下のモーター
細長いプレートが敷かれた軌道を走る神戸市営地下鉄海岸線の車両=神戸市兵庫区浜中町1、市営地下鉄海岸線御崎公園駅
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細長いプレートが敷かれた軌道を走る神戸市営地下鉄海岸線の車両=神戸市兵庫区浜中町1、市営地下鉄海岸線御崎公園駅
神戸新聞NEXT
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神戸新聞NEXT

 リニアモーターと聞くと、最高時速500キロで東京-大阪間を1時間余りでつなぐというリニア中央新幹線を思い浮かべがちだが、実は神戸にも約20年前からある。市の都心部と南西地域を結ぶ市営地下鉄海岸線だ。台車下のモーターと、軌道に敷いたプレートとの間で生じる電磁力で走る。トップスピードは中央新幹線の7分の1にも満たないが、下町の市民の足として親しまれてきた。(初鹿野俊)

 一般的に電車は、変電所から架線を伝って送られた電気を車体の上につけたパンタグラフから取り込み、モーターに届けて車両を進める。

 モーターには2種類あり、多くは「回転型モーター」が歯車を回して、車軸を動かし、車輪を転がす仕組み。JRや私鉄のほか、神戸の中心地と西部を結ぶ市営地下鉄西神・山手線もこの方式だ。

 もう一方の「リニアモーター」は板状で、車体を載せる台車の下に取り付けられる。これが電流を受けると電磁力を発し、軌道に細長く敷かれたアルミ製のプレートとの間で吸引・反発を繰り返し、推進力を得る。強力な磁力で車体を浮かせて進む中央新幹線もリニアモーター駆動だが、車輪は備えていない。

 2001年7月に運行を始めた海岸線は、全国で3番目にリニア式を取り入れた公営地下鉄だった。ちなみに全国初は1990年開業の大阪市営地下鉄鶴見緑地線(現大阪メトロ長堀鶴見緑地線)、2例目は2000年の東京都営12号線(現大江戸線)だ。

 珍しい方式を採用した狙いの一つは、建設コストの削減。リニアモーターは板のように薄いため、回転型よりも台車の高さを低くでき、掘るトンネルは小さくて済む。車体も一回りコンパクトにしており、神戸市交通局の大まかな試算では、海岸線で回転型を導入するよりも工費は2割程度抑えられるという。

 もう一つの採用理由は上り坂での強さ。海岸線の経路上には、兵庫運河や金融機関の金庫など地中に障害物があるため、さらに深部を掘る必要があった。そうすると、線路に急な勾配が生じる。

 回転型だと、車輪自体に動力を加えるため、レールとの摩擦でスリップが起き得る。だが、磁力の反発で進むリニアは車輪を回そうとしないため、空転する心配がなく、坂でも加速力を失わない利点がある。

 自転車のペダルを強くこぐ際、タイヤがスリップすることがある一方で、ペダルをこがずに前から車体を引っ張られるとスリップは起き得ない-のと同じ原理だ。

 海岸線の後に開業した福岡、横浜、仙台の各市営地下鉄の新規路線はいずれもリニア式だ。

 海岸線では効果的に推進力を得るため、リニアモーターとプレートの隙間は12ミリを保つ。そのため、車輪やレールの摩耗具合などの定期点検が欠かせない。

 国家プロジェクトであるリニア中央新幹線ほどの派手さはないが、地道な保守作業によって維持されてきた最高時速70キロの路線は昨年20周年を迎えた。

 「知られてないんですが、うちもリニアなんですよ」。整備担当者のひと言に、推定3億人を輸送してきた鉄道マンの自負がにじむ。

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