重大少年事件などの記録が永久保存とされず、各地で廃棄されていた問題で、最高裁は20日、1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件で次男の土師淳君=当時(11)=を亡くした父の守さん(66)から被害者遺族の心情を聴くことを決めた。事件関係者や記録を活用する有識者らからも保存の在り方などについて意見を聴取するという。
来年1~2月に有識者委員会(座長・梶木寿元広島高検検事長)を複数回開き、聞き取る方針。また記録保存の実態を確認するため、東京地裁・家裁の記録庫も視察する。
20日、オンライン形式で開かれた有識者委第3回会合(非公開)で決めた。土師さんは今月1日付で、聴取を求める要望書を最高裁に出しており、対面で話を聞く方向で調整する。
最高裁によると、「少年事件被害者」の土師さんなど、さまざまな立場の5人から意見を聞く。ほかに、「民事事件の当事者や代理人、少年事件の付添人」として弁護士2人▽「保存された記録を調査・研究などに活用する人」として法律学者1人▽「社会一般」として報道関係の有識者1人-を予定している。
最高裁は適切な保存に向け「広く多角的に意見を聞くことが必要」とした。
最高裁は、全国で廃棄されたり、事実上の永久保存に当たる「特別保存」として残されたりした重大少年事件や民事裁判の記録計約100件の経緯や原因を個別調査し、来年4月をめどに報告書にまとめるとしている。
◇ ◇
要望していた最高裁の意見聴取が決まり、神戸連続児童殺傷事件で次男の土師淳君=当時(11)=を亡くした父の守さん(66)は「一歩前進。事件記録の保存を検討するため、意見を生かしてほしい」と話した。
土師さんは、最高裁や有識者委員会に対して、調査の結果や議論の適切な説明も求めている。「公表が一番望ましいが、最低でも(当事者の)私たちにはきちんと説明してほしい」と話した。
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