毎朝配信する経済ニュースチャンネルのフォロワーが、９万人に迫るラジオパーソナリティーがいる。神戸市中央区出身の「ＤＪ　Ｎｏｂｂｙ（ノビー）」こと福永信彦さん（４１）＝東京都品川区。外資系金融機関の為替ディーラーなど経歴は異色だが「軸足はラジオと音楽」という。大切に続けてきた音楽番組の１０周年を記念するイベントを年末、地元兵庫で開く。

　子どもの頃からラジオを聞くのが好きだった。神戸市立本山中１年時に阪神・淡路大震災に遭った。炊き出し情報などをＦＭ局が伝えていたことから、改めてラジオの存在意義を感じ、「伝える側に」と考えた。

　報徳学園高に進学後、行動に移す。兵庫県西宮市の地域ラジオ局「さくらＦＭ」のプロデューサーに会って「番組をやらせてほしい」と直談判。友人らを集め、高校生が本音で語るバラエティー音楽番組を始めた。関西学院大時代もＤＪを続けたが、志望したアナウンサーの夢はかなわず、外資系金融機関に就職した。

　回り道も無駄ではない。音声メディア「Ｖｏｉｃｙ（ボイシー）」に２０１８年に開設したニュースチャンネル「きのうの経済を毎朝５分で！」が人気だ。銀行、証券、保険の計４社で培った経験を生かし、直近の経済ニュースを分かりやすく解説。フォロワーも増え、知名度も上がった。

　現在は東京を拠点にフリーランスとして活動し、音楽番組も軌道に乗りつつある。自身初の全国ネットラジオ番組「ＤＪ　Ｎｏｂｂｙ’ｓ　Ｔｏｋｙｏ　ＬＩＶＥ！！」は、１２年から続く。レコード会社の推薦は受けず、自身がライブハウスで心ひかれたインディーズミュージシャンを招く。過去には西宮市出身のシンガー・ソングライターあいみょんも出演した。

　１０年間の感謝を込め、ゆかりのアーティスト４組が登場するイベントを３１日、西宮市の県立芸術文化センターで開く。自らＭＣを務める福永さんは「新型コロナウイルス禍で生の音楽を楽しめない時期が続いた。弾き語りの落ち着いた音楽で、今年を締めくくって」と話す。チケット購入など詳細は公式サイトで。