神戸・花隈にある甲状腺専門病院「隈病院」(神戸市中央区)。甲状腺疾患に関する発表論文の多さで世界3位になったことがあるほか、独自に提唱した治療法が広く認められるなど、最先端の研究は海外からも注目を集める。今月27日は開設から90年の節目。病床数58床と決して大きくはない地域の病院が、「クマホスピタル」の名で世界に知られるようになったのはなぜか。
隈病院は1932(昭和7)年、長崎県出身の隈鎮雄氏(1890~1966年)が開業。当時はまだよく知られていなかった甲状腺の病気「バセドー病」を診療項目に掲げるなど、この分野の研究を引っ張った。
病院の名を国内外に知らしめたのが3代目の院長だった宮内昭さん(77)。93年に発表した「甲状腺微小がんの積極的経過観察」は、その後の治療法を変えた画期的な提唱だった。
当時の宮内さんは甲状腺腫瘍を診断する「細胞診」を研究し、わずか3ミリほどの小さながんでも見分けられる技術を持っていた。「見つかれば手術で取る」ことが多かった時代。しかし、次第に「やりすぎではないか」との疑問を抱くようになる。
小さな甲状腺がんの全てが増大、進行するわけではない。一方、切除手術には声帯まひや副甲状腺の機能低下などのリスクも伴う。宮内さんは「微小ながんはまず経過観察し、必要がある時だけ手術するべきだ」と提唱した。
院内でも戸惑う医師がいたが、検証が進むと次第に認知されるように。7年前には、世界的に権威のある米国甲状腺学会が診療のガイドラインに採用。国内の学会も現在は認めている。
もう一つ、宮内さんが奨励したのが情報発信。2001年に院長に就くと、これまでの診療で得た知見を社会に還元することこそ「専門病院の責任」と唱え、症例などを積極的に論文発表するよう呼びかけた。
06~15年に同病院から発表された甲状腺疾患に関する論文は153件と、その前の10年間から倍増。医療機関別では、大学病院などが世界トップ10に名を連ねる中、15年には3位にランクインした。今では年間約18万人の外来患者のうち3分の1が兵庫県外からで、「クマホスピタル」の名を耳にした海外の患者も訪れるという。
開設90年。かつてはバセドー病でも部位を切除する外科的な治療が一般的だったが、現在は放射性物質や薬物による内科的治療が主流になってきた。流れをリードしてきた同病院で今春、4代目院長に就任した赤水尚史さん(67)は同病院で初の内科出身院長だ。
赤水院長は「甲状腺疾患は特に女性に多い病気で、悪化すると日常生活も困難になる。患者の精神的なケアにも力を注ぎ、一人一人に合った治療をする『全人的医療』の伝統を守りたい」と話している。
【甲状腺疾患】甲状腺は喉仏の下にあるチョウのような形をした小さな臓器で、新陳代謝を活発にする甲状腺ホルモンをつくる役割がある。疾患の一つ、甲状腺がんは年間約1万9千人(2019年)が罹患(りかん)、その7割以上を女性が占めており、全体の罹患者数も増加傾向にある。また甲状腺機能が過度に高まるバセドー病、その逆の甲状腺機能低下症、免疫が体の成分を攻撃してしまう橋本病など疾患は多岐にわたる。
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