• 印刷
動画一覧へ
100種類以上を飼育、販売するメダカ専門店「おにぃのめだか屋」の飼育場=明石市林崎町3
拡大
100種類以上を飼育、販売するメダカ専門店「おにぃのめだか屋」の飼育場=明石市林崎町3
錦鯉を連想させる体色の「三色錦メダカ」(めだかやドットコム提供)
拡大
錦鯉を連想させる体色の「三色錦メダカ」(めだかやドットコム提供)
「おにぃのめだか屋」代表の長浜伸隆さんが4種類のメダカを交配させた「シロクジャク」。来年の販売を予定する=明石市林崎町3
拡大
「おにぃのめだか屋」代表の長浜伸隆さんが4種類のメダカを交配させた「シロクジャク」。来年の販売を予定する=明石市林崎町3
同じく販売前で、赤と黒のコントラストが映える「五式系リアルロングフィン大雀」
拡大
同じく販売前で、赤と黒のコントラストが映える「五式系リアルロングフィン大雀」
鮮やかな体色と背中の光沢が特長の「三色ラメ」(めだかやドットコム提供)
拡大
鮮やかな体色と背中の光沢が特長の「三色ラメ」(めだかやドットコム提供)

 メダカの人気に拍車がかかっている。ネットオークションなどで盛んに売買され、中には高級観賞魚に引けを取らない値を付ける品種もある。約20年前、白いアルビノ個体が出現してブームが到来。最近は新型コロナウイルス禍の「巣ごもり生活」で飼育する人が増えたといい、専門情報サイトの運営者は「ペットとしては犬や猫に次ぐ3番目のマーケット」とする。だが熱を帯びる市場の陰で、希少種を狙う盗難事件も起きている。

サイトに続々

 通販サイトやオークションサイトで「メダカ」と入力して検索をしてみる。すると、色鮮やかな小魚の写真がいくつもヒットする。成魚に限らず、卵までが売られていた。

 体色がきらきらしていたり、ヒレが優雅で大きかったり。金魚のように真っ赤な種類もいる。子どものころ、学校で飼育していた素朴なメダカの印象と違い、きらびやかだ。

 さらに、その価格に驚いた。

 「緋牡丹 稚魚 15匹 29340円」

 「レクリス 1ペア(2匹) 34000円」

 通販サイト「楽天市場」に並んでいた2種。1匹に換算すると1800円以上で、レクリスは実に1個体1万7千円の値が付く。さらに調べると、20匹で約9万円のメダカまでが並ぶ。観賞用の小魚でありながら、値段は高級魚に比べて遜色がない。

 一般社団法人ペットフード協会(東京)がまとめた2022年に飼育するペットのランキングで、メダカは犬や猫に次いで3位。また「今後飼育したいと思うペット」でも、金魚や小鳥を上回り3位に入る人気だ。

20年前の白いメダカ

 「市場はずっと右肩上がり。最近はコロナ禍もあり、副業としてメダカを飼育、販売する人が増えた」

 そう語るのは、メダカ総合情報サイト「めだかやドットコム」を運営する青木崇浩さん(46)=東京都。自身もメダカに魅了された一人で、04年に生態や飼育方法などを紹介するサイトを立ち上げた。現在は、メダカと福祉をかけ合わせた就労継続支援B型事業所とメダカの販売を手がける。

 青木さんによると、ブームの始まりは約20年前にさかのぼるという。

 アルビノメダカ-。アルビノは、先天的な理由から皮膚や目に色素が生じない個体。00年代の初め、アルビノ種がメダカにも現れた。

 当時、関東の専門店で、アルビノ種が1匹3万円で販売された。購入した青木さんは「ここから珍しい種類のメダカに注目が集まった」と話す。その後も、ふっくらした魚体の「ダルマメダカ」など高値で取引される種類が次々と登場した。

突然変異で一獲千金?

 飼育の容易さや愛らしい姿に加え、愛好家らの探究心をくすぐるのが突然変異のしやすさだ。メダカは、「動く遺伝子」と呼ばれる「トランスポゾン」が要因となり、異なる種類をかけ合わせることで新たな色や形が生じやすいという。

 手法を紹介するサイトがあり、自宅で挑戦できるとあって、愛好家らが盛んに交配を重ねた。毎年のように新たな種類が現れ、色や体形を組み合わせると、500種類を超えるメダカが存在するという。

 そして、珍しい種類ほど値段はつり上がる。他の観賞魚の餌として、30年ほど前までは1匹1~2円で販売されていたこともあった。青木さんは「誰もがメダカに一獲千金を狙える可能性を秘めている」と表現する。

“消えた”メダカ

 ただ、問題も生じた。盗難だ。

 10月下旬には、神戸市兵庫区で屋外に置かれた水槽から朱赤の体が特長の「楊貴妃」や、コイに似た模様の「三色メダカ」などメダカ約500匹(計約40万円相当)が盗まれた。

 「言葉を失った」。兵庫区で被害に遭った男性は、防犯カメラの映像を見た際のやりきれない思いを口にする。数が減ったのは、野良猫など動物の仕業と思って映像を確認したところ、男が網でメダカをすくい、容器に移して立ち去る姿があった。

 盗難被害の現場に立ち会ったこともあるという青木さん。「メダカの価値を知らずに盗む人はいないだろう」と前置きし、こう続けた。「あれだけ小さなメダカ。センサーライトを付けたり、飼育する場所に砂利を敷いたり。泥棒から守るすべを考えるのは悲しい」

 色鮮やかな魚体のメダカは「泳ぐ宝石」とも呼ばれる。体長10センチに満たない小魚が、欲望をかき立てている。

もっと見る
 

天気(10月10日)

  • 27℃
  • ---℃
  • 10%

  • 26℃
  • ---℃
  • 10%

  • 27℃
  • ---℃
  • 10%

  • 28℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ