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被写体の明暗や色が反転するネガフィルム。販売は激減したが、若い世代などから新たに注目される=神戸市中央区東川崎町1
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被写体の明暗や色が反転するネガフィルム。販売は激減したが、若い世代などから新たに注目される=神戸市中央区東川崎町1
時代を感じさせるフィルムカメラに興味津々=神戸市中央区元町通2、カメラのカツミ堂
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時代を感じさせるフィルムカメラに興味津々=神戸市中央区元町通2、カメラのカツミ堂
デジタルカメラで撮影した神戸クリスタルタワー=神戸市中央区東川崎町1
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デジタルカメラで撮影した神戸クリスタルタワー=神戸市中央区東川崎町1
同じ建物をフィルムで撮影すると…
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同じ建物をフィルムで撮影すると…

 フィルムカメラが、若いデジタル世代を中心にじわり支持を広げている。デジタルカメラやスマートフォンが登場し、販売は落ち込んでいたが、ここに来て「写りがきれいすぎず、エモい(感情が揺さぶられる)」と注目を集めているという。一方で、フィルムと言えばかつて多くの人がプリントして周りに配るなどしたが、いまはしないとも。令和のフィルムの魅力、使われ方とは。

 神戸市中央区の「シライカメラ」には、国内外のフィルム約100種が並び、根強いファンや若い世代が訪れる。2000年代初期は国産を中心に多くの本数を売ったが、近年は業務で使用する職場も少なく、半分程度に減少した。ただ、取り扱う種類は2倍程度に増えたという。

 1本当たりの平均単価は、スケールメリットの低下で約2~3倍の1600円前後にはね上がった。それでも「青みが強い」「夜景がきれいに撮れる」とメーカー別の持ち味などで選ばれる。

 同区の「カメラのカツミ堂」では、フィルムカメラが売れている。中古の約200種や富士フイルム(東京)の使い切りタイプ「写ルンです」を取りそろえ、中高生、大学生らが買い求める。

 同店でフィルムカメラを購入した神戸市東灘区の大学生田村葵さん(21)は、同世代の友人が使うのを見て知った。「昭和っぽい、味のある写真を撮りたい。旅行やイベントで使うつもり」と目を輝かせる。

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 高画質かつ撮ったその場で写りの確認、撮り直しが可能なスマホが行き渡り、多くの人にとって写真撮影の機会は大幅に増え、身近になった。

 そんな中、フィルムカメラは国内外の著名人が趣味で持ち歩いたことから、おしゃれアイテムとしてまねる人が現れた。しかし最近は、光の加減や色合いなど作品としての味わいに憧れる人が目立つ。

 同店の大津雄亮さん(43)は「記録媒体として数多く撮るデジカメとは一線を画し、フィルムは手間をかけて『とっておき』を切り取る。現像するまでどう撮れているか分からない点も楽しいよう」とみる。

 撮った写真はどうしているのか。田村さんの友人で、フィルムを愛用する兵庫県明石市の大学生南波日香さん(21)は「スマホに取り込み、交流サイト(SNS)で発信したり友達に送ったり」と教えてくれた。

 近年は、写真店が現像データをスマホに転送するサービスなどを手がけていることもあり「印刷はしません。かさばるし」。

 フィルムの現像でシライカメラに来店した神戸市須磨区の棚木悠太さん(28)も「プリントはコンテストに出すときくらいしかしません」と明かした。

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 同店でもデジカメを含め紙焼きする人の割合は、07年ごろは約7割を占めたが、およそ10人に1人に減った。運営会社社長の白井潤さん(64)は「写真はプリントしてほしいし、する必要があると訴えている。でもなかなか広がらない」と苦笑いする。

 デジタルデータはぬれると回復が難しい。しかし、印刷しておけば水害などが発生した際も残せる可能性がある。またデータはあまり見返されないが、紙に焼けば複数人で囲んで思い出話にしやすい。

 子どもの写真を部屋に飾り「あの時、頑張ったね」「一緒にいてくれて楽しいよ」とほめて自己肯定感を高める取り組みに活用する家庭もある。

 白井さんは「フィルムの紙焼きには特有の質感がある。目的に応じてデータと使い分ければ楽しみは広がる」と提案し、フィルム復権の兆しに「使ってみたいと思われるのはうれしい。使い方が分からなければ一から教えます」と呼びかけている。

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