昨季、26年ぶりに日本シリーズを制したプロ野球のオリックス・バファローズ。前回は「がんばろうKOBE」を合言葉に日本一に輝き、阪神・淡路大震災の被災地を勇気づけた。その当時のイチローさんら中心選手のサインが今も、神戸市須磨区の料理店の壁に残されている。壁は震災で亀裂が入り、老朽化が進んでいたが、昨年3月にアクリル板で覆い、保存がかなった。
同市須磨区大田町2の「ふぐ一品料理 あみ」。アクリル板を設置した壁(縦1・3メートル、横3・7メートル)には、約100人分のサインが記されている。
イチローさんのサインは、震災前年の「94・9・27 いちろー」。1995年に1試合19奪三振を記録した投手の野田浩司さん、97年からメジャーリーグで活躍した投手長谷川滋利さん、昨季、オリックスを26年ぶりの日本一に導いた中嶋聡監督のものもある。
店とのつながりは、オリックスの本拠地が同市須磨区のグリーンスタジアム神戸(当時)に移る前後の約30年前にさかのぼる。ブレーブスの速球派投手として名をはせ、オリックスのコーチを務めていた山口高志さん=同市長田区出身=をはじめ、選手たちが次々と来店。震災前、壁にはサインが増えていった。
そして、95年の「1・17」。現店主で、当時は神戸国際大付属高校2年の野球部員だった木下大輔さん(44)の記憶は鮮明だ。
店舗兼自宅で寝ていたが、下から「ドンドンドン!」と突き上げるような激しい揺れで飛び起きた。外に出ると、あちこちで炎が上がっている。生き埋めになった人、焼け焦げた遺体。近くに住んでいた同級生が亡くなった。「本当に地獄のようだった」
家族は無事だったが、店舗兼自宅は半壊。近くの教会に避難した。支援の手を差し伸べてくれたのが、オリックスの関係者だった。
コーチだった山口さんは避難先を見舞い、大輔さんの父で店主だった一夫さん(75)に「これ持っておいて」と、数枚の1万円札を握らせた。
投手の長谷川さんは、木下さん一家のために新しい布団を用意し、市内の自宅に招いてくれた。「気付けば家族みんなぐっすり寝ていた」と大輔さん。
一夫さんが体調を崩して入院した時も、選手らが病院に来て励ましてくれた。そうして震災から7カ月後、店は再開にこぎ着けた。
店の壁には、激しい揺れで縦に1メートルほどの亀裂が入り、それから毎年、冬には冷たいすきま風が吹き込んだ。壁紙は、端からめくれてきた。店を継いだ大輔さんいわく「決して見栄えが良いとはいえなかった」。
だが、壁の傷は震災を今に伝え、サインには思い出が詰まっている。亀裂はそのままに、全体を透明な板で覆うことにした。
新型コロナウイルス禍の2022年、オリックスは劇的なリーグ優勝と日本一を果たした。「震災の時も昨季も同じ。劣勢の状況からはい上がる。そんなチームの姿に『僕たちも』と勇気をもらっている」
まもなく震災から丸28年になる。保存した壁を見ると、震災のつらさ、支えられたぬくもり、「がんばろうKOBE」の感動がよみがえる。「あの時の記憶を次の世代に残したい」。大輔さんはそう願い、きょうも調理場に立っている。
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