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バレーボール部監督を務める坂下麻衣子さん(右端)。今春、母校に戻ってきた=西宮市の武庫川女子大
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バレーボール部監督を務める坂下麻衣子さん(右端)。今春、母校に戻ってきた=西宮市の武庫川女子大
ハンドボール部で強化コーチとして指導する佐久川ひとみさん(中央)=西宮市の武庫川女子大
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ハンドボール部で強化コーチとして指導する佐久川ひとみさん(中央)=西宮市の武庫川女子大

 女子サッカーのWEリーグなど国内スポーツ界で女性指導者の登用が進む中、兵庫県内の教育機関でも機運が高まっている。同県西宮市の武庫川女子大は強化運動部の大半に配置し、ライフスタイルに応じた支援制度も用意。担当者は「月経など女性特有の課題もオープンに話せる雰囲気になった」と効果を話す。

 2021年秋に開幕したWEリーグは、女性活躍を意味する「Women Empowerment」の頭文字から命名された。各クラブに対し、女性指導者を1人以上起用▽クラブの意思決定に関わる役職の1人以上は女性に▽参入3年以内に役職員の半数以上を女性に-との参入基準を設けた。達成状況も公表している。

 県内有数のスポーツ強豪校である武庫川女子大では、WEリーグ開幕と同時期あたりから、女性指導者を積極登用するコンセプトを明確に打ち出してきた。直接雇用でなく業務委託契約を結ぶ指導者に対しても、出産や育児の期間に別のコーチを配置できるなどの支援制度を導入している。

 現在、14の強化運動部のうち、バレーボールやハンドボール、テニス、カヌーなど8クラブで女性がトップの指導者を務める。さらにバスケットボールや陸上など4クラブには女性コーチがいる。

 一連の取り組みは、大学スポーツセンター長の坂井和明さん(55)が海外文化に触れたのがきっかけだ。

 バスケットの米国女子代表として五輪優勝に貢献したアン・ドノバンさん(故人)が指導者に転身し、08年北京五輪で母国の女子チームを金メダルに導く姿に「日本も女性のトップアスリートがコーチングを学んで指導できれば。女子選手の特性は女性がよく分かっている」と感じたという。

■成長期の体重、月経…悩みオープンに

 ハンドボール部は元日本代表主将の佐久川ひとみさん(45)が強化コーチとして指導し、4年目になる。

 教え子が競技に集中できていないと察すると、本人やチームメートの話に耳を傾けるなどしてフォロー。学生が社会人になっても通用するようにと「報告、連絡、相談」の大切さも説く。

 バレーボール部では22年春から、卒業生で元日本代表の坂下麻衣子さん(37)が監督を務める。地元・西宮市出身で、プレミアリーグ(現Vリーグ)のJT(練習拠点・西宮市)で主将として活躍した。

 「バレーを楽しみ、引退するまで成長しよう」と部員に語りかけ「もっと自分に聞きにきてほしい」と対話を重視する。部員は「麻衣子さん」と呼び、4年の喜多あゆみ選手(22)は「細やかさと親しみやすさがある」と信頼を寄せる。

 さらに23年春には、体操女子で五輪2大会出場の杉原愛子さん(23)が、地域に開かれたクラブ「スポーツクラブ武庫女」の強化コーチに就く予定。今は同大学短期大学部の学生で、競技の第一線を退いている。

 ジュニア世代の指導に向け「成長期の体重や生理の問題もある。自分の経験を生かして指導し、五輪選手を育てたい」と意気込む。

 女性登用の効果として、坂井さんは「指導者に月経の相談がしやすくなるなど、女性特有の課題もオープンに議論できる雰囲気になった」と説明。「日本のスポーツが文化的に成熟する上で、女性指導者の登用は必須。女子アスリートに対してもセカンドキャリアの手本を示せたら」と話している。

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