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開門を前にストレッチする本紙記者。この後、転倒するとは思いも寄らない=西宮市社家町
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開門を前にストレッチする本紙記者。この後、転倒するとは思いも寄らない=西宮市社家町
本殿を目指して駆け出す参拝者ら。左端から2人目の赤い鉢巻きをしているのが本紙記者。後ろから押し込まれ既に体勢が崩れている=10日午前6時、兵庫県西宮市
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本殿を目指して駆け出す参拝者ら。左端から2人目の赤い鉢巻きをしているのが本紙記者。後ろから押し込まれ既に体勢が崩れている=10日午前6時、兵庫県西宮市

 えびす総本社の西宮神社(兵庫県西宮市)で3年ぶりにあった10日早朝の「福男選び」に初挑戦した。神社で引いたおみくじは「凶」だったが、場所決めの抽選では大当たりの「最前列」。ひょっとしたら自分が福男に…と夢見てスポーツウエアを着込み、小中学校時代にバスケットボールで鍛えた脚力を生かすはずだった。

 午前6時の開門前。表大門前は寒い中で不思議な高揚感に包まれていた。

 10分前、5分前…と本番が近づき「うぉ! うぉ! うぉ!」と誰かがほえ、他の参拝者も呼応する。血が熱くなるのか、自分も次第に声を合わせていた。

 10、9、8…。数秒前に高揚は頂点に。「行くぞー!」と雄たけびが響き、閉じた門の前にいたら、後ろから迫る集団の圧で押しつぶされそうになる。

 ついに開門。しかし、前に進めない。門は観音開きになって人波は中央から流れだすため、やや右端にいると門前でせき止められて前に進めない。抜かれてたまるものかと体を押し込み、一気に駆け出してわずか十数メートルのところだった。

 後ろからヌーの大移動さながらの勢いで人々が押し寄せる。誰かに追突され、頭から地面に滑り込んでしまった。

 顔の横を無数のランニングシューズが過ぎ去る。

 福男よ、さらば-。立ち上がり、力を振り絞って本殿へ向かうと、既に福男は神職に抱えられていた。

 その時、凶のおみくじにある一文を思い出した。

 「何事も 人のちからにおよぶまじ かみの御心 なるをしるべし」

 最前列を当てただけで「福の神がほほ笑んだ」と浮かれていた自分が恥ずかしい。「自分を過信せず、謙虚に生きなさい」。えべっさんにそう諭され、身になる福を授かったような気がして、鳥居の前で一礼した。

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