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「63」と飾られた有本恵子さんの誕生日ケーキと父明弘さん=12日午後、神戸市長田区
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「63」と飾られた有本恵子さんの誕生日ケーキと父明弘さん=12日午後、神戸市長田区
有本恵子さんが63歳となる誕生日に、拉致被害者家族として歩んだ40年を振り返る父明弘さん=12日午後、神戸市長田区
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有本恵子さんが63歳となる誕生日に、拉致被害者家族として歩んだ40年を振り返る父明弘さん=12日午後、神戸市長田区

 北朝鮮による拉致被害者で、神戸市出身の有本恵子さんが12日、63歳の誕生日を迎えた。恵子さんは失踪当時23歳。父明弘さん(94)は約40年間、娘の顔を見ていない。2002年の日朝首脳会談後、政府から「死亡した」と聞かされたこともある。自身も年齢を重ね、妻も亡くした。「恵子は生きている。会えるものなら会いたい」と語る声は、長い年月の間に陰り、諦観さえ帯びている。

 恵子さんは三女。有本家では毎年、手料理も用意し、恵子さんの誕生日会を開いてきた。だが、20年に母嘉代子さんが94歳で亡くなって以降は、家族でケーキを食べ、静かに祝う。

 1983年、英国留学中、ヨーロッパで失踪した恵子さん。2002年、よど号ハイジャック事件メンバーの元妻が恵子さんの拉致に関与したと告白し、拉致被害者と認定された。しかし同年、恵子さんが「ガス事故で死亡」とする北朝鮮の主張が伝わる。その後、死亡を裏付ける証拠がないことが分かった。娘のため全力で活動してきた明弘さんは、この主張を「うそをついていたんや」と憤る。

 昨年は北朝鮮のミサイル発射がエスカレートし、過去最多を更新した。明弘さんは「日本は、なめられている」と強く非難。岸田政権を「拉致問題では0点。重要課題と言いながら、さじを投げているように見える」と苦言を呈する。

 拉致問題が長期化し、再会を果たせずに亡くなった被害者家族の仲間もいる。拉致被害者の横田めぐみさん=失踪当時(13)=の父滋さんは20年に87歳で、田口八重子さん=失踪当時(22)=の兄飯塚繁雄さんも21年に83歳で亡くなった。

 残された時間は長くはない。明弘さんは、集まった記者に「あんたらが(拉致被害者を)助けようと思ったら、どうする?」と逆に尋ねた。

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