6434人が亡くなり、3人が行方不明となった阪神・淡路大震災は、17日で発生から28年となる。戦後初の都市直下型地震に見舞われた被災地は復興し、激震の跡はほぼ見えなくなった。だが、被災した兵庫県内の自治体は今もなお復旧・復興に関する地方債残高を抱え、うち神戸や尼崎など6市は、完済までに10年以上を見込む。当時の財政負担が尾を引く中、新たな災害に備えた防災・減災力の蓄積が求められている。
■尾を引く地元負担
兵庫県によると、県内で阪神・淡路大震災の復旧・復興関連事業に投入された費用は総額16兆3千億円。このうち被災地の自治体などは計約8兆円を負担した。県は2兆3千億円を負担し、うち1兆3千億円を県債(借金)で賄った。被災12市が震災関連で発行した地方債の総額は計1兆8145億円と巨額だった。
兵庫県と被災12市は2021年度決算で計3832億円の返済が残る。全体では前年度比で571億円減ったが、既に返済を終えた三木市を除き、5年以内に完済できるとしたのは明石市と南あわじ市のみ。返済額の残高が898億円と多額な神戸市は40年度まで、尼崎市も39年度まで返済が続く見通しで、西宮▽芦屋▽宝塚▽淡路-の4市と合わせ、計6市が10年以上先の完済を予定する。2498億円の返済を残す兵庫県も、完済には10年以上かかる見通しだ。
11年に起きた東日本大震災の復興事業は国が手厚い財政支援をした一方、阪神・淡路の被災地の地元負担は28年の歳月が経過しても、なお色濃い。
一方、県内の公立学校の耐震化は終了し、住宅の耐震化率も9割を超えた。近い将来の発生が見込まれる南海トラフ巨大地震を見据え、ハード面とともにソフト面の備えも一段と欠かせない。
阪神・淡路では発災後の1年間で全国から延べ138万人のボランティアが駆け付けた。応援の自治体職員らも約2カ月半で19万6400人に達した。受け入れ体制を整える「受援(じゅえん)計画」は県内41市町のうち33市町が整えたが、未策定も残る。兵庫をはじめ多くの自治体が被災する「超広域災害」を想定した対策も求められている。
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