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5・10 兵庫区・川池公園
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5・10 兵庫区・川池公園
5・50 長田区・日吉町ポケットパーク        
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5・50 長田区・日吉町ポケットパーク        
11・16 芦屋市・芦屋公園
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11・16 芦屋市・芦屋公園
17・46 東京・日比谷公園       
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17・46 東京・日比谷公園       

■未明

 5・00 西宮市・地すべり犠牲者の碑 冷気が肌を突き刺す。暗闇と静寂。緊張感が漂う。亡くなった34人をしのぶ追悼式。住民たちが、慰霊碑に花を手向ける。「あの日を決して忘れない」。誓いの言葉を胸に刻む。

 5・10 兵庫区・川池公園 慰霊碑の前に照明が置かれた。追悼の準備が整う。長木光子さん(79)が線香をあげる。焼け焦げ、がれきで埋まった街の姿がよみがえる。「心の中の暗い記憶は、これからもきっと消えない」

 5・31 長田区・カトリックたかとり教会 響くのは、賛美歌にほら貝、読経の声。焼香の煙がたゆたい、冷気に溶け込んでいく。集まったのは、ベトナム人や韓国人、僧侶ら約60人。国籍や宗教を超えた祈りが続く。

 5・33 芦屋市・JR芦屋駅前 通勤客の姿はまだない。静まりかえった駅北側の一角で、被災した街並みを記録した写真が展示されている。主催する永瀬隆一さん(51)の思いは「震災を知らない世代に経験をつないでいく」こと。集まってきた人たちが、しみじみと眺める。

 5・38 長田区・大国公園 住民が一人、また一人。ろうそくをともし、地元で命を落とした42人を思う。地震で自宅が全壊した池内悦子さん(77)は「被災体験を語り継ぐことも大切。だけど、震災後の私たちの暮らしや思いを未来にどう生かすかが問われているのでは」。

 5・40 灘区・琵琶町公園 その時が近づく。園内の石碑には、亡くなった61人の名前が刻まれている。「街は生まれ変わったが、ここで起こったことを忘れてはならない」。自治会長の家門勝治さん(66)が力を込める。

■5時46分

 中央区・東遊園地 竹灯籠の周りで手を合わせ、火に祈りを込める人たち。感謝、忘れない、未来へつなぐ-。会場に、時報が響く。そして、静寂に包まれる。母の藤井あい子さん=当時(83)=を亡くした寺内和子さん(74)は「一番嫌な日だけど、一番大切な日」と話し、そっと目を閉じた。

 西宮市・西宮震災記念碑公園 市内で亡くなった1086人の名前を記した石碑が照らされる。集まった約250人が目を閉じる。初めて訪れた山本和雄さん(56)は暮らしていた文化住宅がつぶれ、近所の人が亡くなった。「闇と土ぼこり、助けを求める声が忘れられない」

 淡路市・北淡震災記念公園 しつらえた二つのたいまつが燃える。慰霊碑へ花をささげ、手を合わせる人たち。「上を向いて歩こう」の合唱が、まだ暗い空に響く。

 中央区・ビーナスブリッジ 神戸の街並みが眼下に広がる。トランペット奏者松平晃さん(80)が奏でる澄んだ音色が流れていく。どこからか、鐘の音も聞こえてきた。

 東灘区・魚崎わかばサロン 206人の名前が刻まれた銘板の前で、長谷川泰徳さん(42)がしゃがみ込んだ。地震後に地元を離れ、昨年末、約20年ぶりに戻ってきた。一人一人の名前を見つめながら、「忘れてないよ」と伝える。

 長田区・日吉町ポケットパーク 慰霊の読経が響く。住民らが、「あわせの地蔵」に手を合わせる。家族で避難生活を経験した木村晴美さん(68)が「街の風景は変わったけど、お地蔵さんが私たちをつないでくれている」とほほ笑む。炊き出しの豚汁が温かい香りを運び、人の輪ができはじめた。

 長田区・御蔵北公園 子どもたちが手作りした灯籠に灯がともる。僧侶8人が、御菅地区で亡くなった人たちの名前を読み上げていく。100人以上の住民が見守る。

 東灘区・本山第一小学校 住民ら約200人が輪になって黙とうをささげる。三枝大介さん(48)は、地震2日前の成人式で会った友人の女性を亡くした。「『久しぶりやなあ、きれいになったなあ』って言葉をかけて。記憶は振り袖姿のままなんです」

■午前

 6・33 長田区・若松鷹取公園 地区で亡くなった人と同じ105本のろうそくが並ぶ。空が白んでいく。高山博さん(79)が一本、また一本と燃え尽きるのを見守る。息で吹き消すのはしのびないそうだ。地震で亡くなった町内会の友人の面影が浮かぶ。「ええおじいちゃんになってたんやろうな」。涙がこぼれる。

 7・57 芦屋市・芦屋公園 献花台に、訪れた人たちが白いキクの花を重ねていく。出勤前に立ち寄り、手を合わせたのは、吉津雅一さん(59)。1月17日の早朝に足を運んだのは初めてという。「28年という年月が、献花台に向かうよう背中を押してくれた。職場であの日のことを伝えたい」

 8・00 東灘区・コープこうべ生活文化センター 敷地内の鎮魂碑の前で役職員約40人が一斉に黙とうした。地震の直後、センターは遺体の安置所となった。「1月17日は、これからも特別な日であり続ける。諸先輩方の体験から得た教訓を継承し、防災、減災の取り組みを進める」。岩山利久組合長(60)が誓う。

 8・00 中央区・日銀神戸支店 ヘルメット姿の職員13人が出勤してきた。自宅から徒歩で集まり、非常口から支店内へ。真っ暗な執務室で、ヘッドライトの明かりを頼りに業務継続訓練を始めた。竜田博之支店長(54)は「日銀の危機管理は、震災が原点。災害時でも現金を供給する使命を職員全体で共有する」。

 8・37 長田区・水笠通公園 斎藤元彦知事(45)が視察で立ち寄る。地元のまちづくり協議会長だった野村勝さん(84)が、大火に見舞われた被害状況や復興の過程を説明。「苦労が今に生きているんですね」と斎藤知事がうなずく。

 9・00 芦屋市・精道小学校 鐘が8回、鳴り響く。亡くなった児童8人を悼む「祈りの碑」前での追悼式。「想定外を予想すれば犠牲は減る」「責任を持って語り継いでいく」。6年生の吉高海翔君(12)と小西琥太朗君(12)が、決意を述べた。

 9・30 長田区・ピフレ新長田 地震の翌年から続く「1.17 長田・メモリアルのつどい」が始まった。参加者は約40人。黙とうや記録映像の視聴後、ウォールギャラリーなど地震の記憶が残る場所を巡った。企画する不動博さん(84)は「長田はすっかり変わった。でも、人と人とのつながりを大切にする人情は変わらない」。

 10・00 中央区・神戸市役所 神戸市が「ひょうご防災ネット」の登録者に一斉メールを送る。瀬戸内海沿岸部を震源とする地震の発生を想定しての注意喚起。姿勢を低くする▽頭を守る▽動かない-の三つの行動をとるシェイクアウト訓練の実施を呼びかけた。

 11・09 中央区・HAT神戸 灘区の王子公園を出発した「ひょうごメモリアルウォーク」の参加者が約4キロの道のりを歩き、次々にゴールしていく。地震をきっかけに防災士の資格を取ったという加西市の中村壽男さん(71)は妻葉子さん(72)と一緒に参加。「神戸の町はとてもきれい。復興の力を改めて感じた」

■午後

 12・00 中央区・神戸市役所前 借り上げ復興住宅の退去問題などを訴えてきた市民ら約40人が集まった。毎年、同時刻に開いていた「追悼・連帯・抗議の集い」は昨年終了が宣言されたが、今年もマイクでアピール。「命を守るべき行政が被災者を追い出したり裁判を起こしたりするのは本末転倒」と声を張った。

 12・00 宝塚市・ゆずり葉緑地 さわやかな青空。柔らかな陽光が降り注ぐ。記帳所を訪れ、慰霊碑に花を手向ける人たち。「天国で元気に暮らしてる? みんな元気よ」。刻まれた名前をじっと見詰め、亡き人を思い語りかけた。

 12・52 中央区・人と防災未来センター 衆院兵庫5区選出の谷公一防災担当相が定例の閣議を欠席して「ひょうご安全の日のつどい」に参加。献花後に取材に応じ「次の災害に備えるには、苦い教訓を伝えなければならない。兵庫県などは節目の行事を100年くらいは続けることを目指してほしい」と呼びかけた。

 14・46 三木市・市民団体「神戸・心絆(ここな)」事務所前 「忘れない これからも」などの言葉を描いた竹灯籠約1200本に灯がともる。東日本大震災で被災した宮城県名取市の住民も加わり、黙とうをささげた。その一人、保育教諭の鹿又さやかさん(32)は「『まだ幼いから分からない』では片付けたくない。神戸で地震があったことを子どもたちに伝えたい」。

 17・30 中央区・ラッセホール 兵庫県教職員組合主催の「追悼の夕べ」が始まる。地震の直後、長田区の小学校で避難所運営に携わった菅正男さん(72)が講演。「避難所最後の日、教員総出で笑顔で掃除をした。『明日から元の学校に戻るんだ』と」

 17・46 淡路市・郡家の復興住宅前広場 地震発生時刻から12時間後に合わせ、一宮地域で亡くなった13人を追悼する鐘が13回鳴らされた。地域住民ら約90人が参加した「防災意識高揚のつどい」。日が暮れ始め、ろうそく型のライトを並べた「1.17」の文字が浮かんだ。

 17・46 中央区・神戸阪急 地震直後から鎮魂の演奏を続ける「太鼓衆団輪田鼓(わだつみ)」が登場。黙とう後、力強いリズムの4曲を披露した。田中嘉治代表(70)の「やーっ」という声に合わせ、メンバーがバチを振りかざす。1曲ごとに、集まった買い物客から拍手が起こった。

 17・46 東京・日比谷公園 「1.17希望の灯(あか)り」から分灯したキャンドルで描かれた「1.17」。冷たい風で火が消えるたびにつけ直す。東灘区の自宅が全壊した君島紫さん(48)=東京都=は「10年前に転居し、神戸に行くのは難しくなった。こういう場があるのはありがたい」と涙を浮かべた。

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