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兵庫県庁=神戸市中央区下山手通5
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 阪神・淡路大震災の被災者に国と自治体が貸し付けた「災害援護資金」について、国への返済が残っている兵庫県内の9市を対象に、県が無利子の貸付制度を創設することが分かった。実質的な未返済額は計4億2千万円で、2023年度末までに県を通じ国に返さなければならない。各市はこの貸付金を利用するなどして国に一括返還し、借り主の被災者への債権を放棄する方向で調整している。

 同資金は県内13市で計約5万6千件、約1309億円が貸し付けられた。原資は国が3分の2を負担し、そこに県が3分の1を上乗せして各市に分配。各市が被災者への貸し付けと回収業務を担ってきた。

 県によると、22年11月末時点の未返済の残高は9市で約6億3700万円(502件)。このうち県が負担した約2億1千万円は債権を放棄する方針だが、残る約4億2千万円は各市が国への返還義務を負う。各市は22年度中にいったん県に返還し、23年度中に県から国へ返す必要がある。

 市によっては財政負担が大きく、県と各市は返還額の免除や軽減を国に求めてきたが、理解は得られなかった。一方、今も未返済の借り主は高齢化が進んで資力に乏しく、行方不明となっているケースも少なくない。市側の回収業務の負担も大きく、震災から28年がたつ中で、関係自治体から「課題に区切りをつけるべきだ」との声も出ていた。

 県が創設する方針の貸付制度は分割返済可能で、期限は最長20年とする方向という。斎藤元彦知事は取材に「自治体によって財政力が異なり、負担の緩和が必要と判断した」と述べた。

 阪神・淡路の当時は、被災者に最大300万円を支給する「被災者生活再建支援制度」がなかった。災害援護資金を被災者に貸し付けた13市のうち姫路、三木市は完済し、南あわじ市は22年度中に完済見込み。県の財政負担がない政令市の神戸市は21年に独自に返済免除を決めた。

【災害援護資金】災害弔慰金法に基づき全半壊世帯などに最大350万円を貸し付ける制度。国が3分の2、都道府県か政令市が3分の1を負担する。阪神・淡路大震災の返済期限は10年だったが、国は2006年以降、5回にわたり期限を延長。返済免除の対象も低所得者などに拡大された。

【特集ページ】阪神・淡路大震災

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