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動物の迫力あるアクリル画を制作した石村嘉成さん(左)と父の和徳さん=神戸市立中央区文化センター
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動物の迫力あるアクリル画を制作した石村嘉成さん(左)と父の和徳さん=神戸市立中央区文化センター
石村嘉成さんが描いた「かなしきデブ猫ちゃん」の主人公のマル=神戸市中央区文化センター
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石村嘉成さんが描いた「かなしきデブ猫ちゃん」の主人公のマル=神戸市中央区文化センター

 自閉症と向き合いながら動物を題材にした絵の制作を続ける石村嘉成(よしなり)さん(28)=愛媛県新居浜市=の作品展が、神戸市立中央区文化センター(同市中央区東町)で開かれている。トラやパンダ、ハシビロコウなどの力強い表情を表現したアクリル画や版画約15点が並ぶ。二人三脚で歩んできた父の和徳さん(62)は「家族が自閉症で悩みを抱えている人にも希望を持ってもらえたら」と話している。2月11日まで。

 体を大きくくねらせる竜に、獲物を見定めるように目を見開くトラ。幅約4メートルのキャンバスに十二支を描いた大作だ。「こんにちは」。その横では嘉成さん自身が率先して来場者を出迎え、記念写真の撮影にも快く応じている。

 「見た人に、笑顔に、元気になってほしい」。嘉成さんが何度も繰り返してきた言葉だ。対人関係が苦手とされる自閉症だが、嘉成さんがひたむきに、明るく言葉を交わす画家にまで育ったのは、両親の粘り強い療育のたまものだった。

 和徳さんによると、嘉成さんは1歳ごろまでは順調に発達し、「ママ」などの単語も口にし始めていたが、1歳2カ月の頃に急に言葉を話さなくなった。目を合わせず、あやされても笑わなくなり、2歳で自閉症と診断された。

 両親はわが子が将来一人で生きていけないかもしれないと案じつつも、母の有希子さんは「だからこそ人に大事にしてもらえる子に」と嘉成さんの能力を伸ばす療育を心がけた。

 とりわけ関心を示したのが、動物だったという。動物園に連れて行った時だけは泣いたり暴れたりすることもなく、図鑑や生き物のテレビ番組にも特に強い興味を示した。

 11歳の時に、母有希子さんが40歳の若さで他界。和徳さんと2人の生活が始まった。勉強も運動も苦手だったが、興味を示した時の集中力と記憶力は群を抜いていた。中学校3年間の給食の献立はすべて暗記するほどだったという。

 転機となったのは、高校3年の選択授業だった。美術教諭と一対一で版画や絵画を学び、うち一つの版画が校内で表彰された。「版画や絵画に出合ったことで人に認められる喜びを知り、生きる自信につながった」と和徳さん。前途に光明を見いだした。

 そこからは嘉成さんのために自宅にアトリエを設置。制作に没頭すると、早くも大輪を咲かせた。19歳でフランス・パリの公募展で入賞。翌年には新居浜市で初の個展を開き、その後も毎年のように国内外の公募展で入選するなど活躍の幅を広げた。

 作品の大半は動物や植物などの生き物。動物園でのスケッチのほか、図鑑や写真集などを参考にするが、あえて白黒にコピーした写真を前に置いて制作を始めるという。そのため、本来はグレーのハシビロコウが緑色で描かれるなど、制作時の感性に任せて筆を走らせる。

 描かれた目や顔は「りりしさの中に優しさがある」と評されることも多い。会場には、キャンバスいっぱいに描かれたユキヒョウやマンドリル、パンダなどの表情画が並ぶ。神戸新聞で連載中の創作童話「かなしきデブ猫ちゃん」の主人公マルの絵も展示している。

     ◇

 観覧は無料。午前9時~午後9時(日祝日は午後5時まで)。1月21日と28日の午後6時から、同センター1階で2人による講演会がある。和徳さんが自閉症児の療育について語るほか、嘉成さんによる制作の実演もある。先着160人の申し込みを受け付けている。参加費500円。同センターTEL078・381・7899

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