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中華料理に特化した宅配サービス「ハングリーパンダ」のアプリ画面。設定で日本語に変更できる=神戸市中央区東川崎町1、神戸新聞社
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中華料理に特化した宅配サービス「ハングリーパンダ」のアプリ画面。設定で日本語に変更できる=神戸市中央区東川崎町1、神戸新聞社
ハングリーパンダのステッカーを貼った中華料理店=神戸市中央区栄町通3
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ハングリーパンダのステッカーを貼った中華料理店=神戸市中央区栄町通3
ハングリーパンダの配達員=東京都内(同社提供)
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ハングリーパンダの配達員=東京都内(同社提供)
ハングリーパンダのキャンペーンを知らせる広告=神戸市中央区三宮町1
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ハングリーパンダのキャンペーンを知らせる広告=神戸市中央区三宮町1

 「ウーバーイーツ」などの料理宅配サービスが都市部で広がる中、世界各地の中国系住民をターゲットにした本格中華の宅配事業が神戸に進出している。専用アプリは中国語がメインで、火鍋や点心など母国の味をそのまま提供する店がずらり。利用者の9割は中国系という「中国人による、中国人のためのサービス」のようだが、その実態は-。

■英国発祥、神戸で150店が登録

 青地に白のパンダのイラストがシンボルの「ハングリーパンダ」。ウーバーイーツなどと同様、スマートフォンのアプリで注文を受け付け、配達員が飲食店の料理を届けるサービスで、2017年、中国人留学生が英国で始めた。現在は米、仏、豪など世界10カ国60以上の都市で利用できる。

 日本では20年12月に大阪市内で始まり、21年7月から神戸でスタート。東京、名古屋、福岡など計7都市で展開する。

 同社アジア部門(日本、韓国、シンガポール)の責任者を務める巩(ゴン)学偉さんは「日本国内約120万人の中国系住民のうち、神戸には東京、大阪に次ぐ約1万7千人がいる。中華料理の店も多く、市場としては十分に成り立つ」と力を込める。神戸市内の登録店や利用者は順調に増え、現在は同市中央区の中華料理店や中国物産店など、約150店が登録しているという。

■配達員は7割中国人、確保に課題

 中国物産店「銘昇通商」(神戸市中央区元町通5)は、1年半ほど前からハングリーパンダに加盟。多い時で1日6件ほどの注文があるという。店主の王震さん(27)は「雨や寒い日など、人通りが少ない時にも注文があって助かっている」。同市中央区の中華料理店の店長(34)は「配達員が少なく、届けるまでに時間がかかるのがネックだが、中国人は日本人の2倍くらいの品数を一度に注文するので、客層として魅力的」と話した。

 「一番の課題は配達員の確保」と巩さん。日本国内の配達員の7割は中国人といい、「アルバイトの留学生の多くはバイクの運転免許を持たず、配達効率が低くなりがち。サポート体制を充実させ専業配達員を育て、店と配達員と一緒に成長していきたい」と語る。

■中国語分からない記者が注文、その味は?

 中国語が分からない記者でも注文できるのか。神戸ハーバーランドの神戸新聞本社で昼食時に試してみた。まずは、スマホに専用アプリをダウンロード。中国語の画面が出てきて戸惑ったが、漢字から推測して設定画面を選び、日本語に切り替えて事なきを得た。

 アプリ内には本格中華の店がずらり。見慣れない料理が多く悩んだが、マーボー丼を注文した。送料込みで1154円。「高い」と思ったが、「届けてくれるから…」と自分を納得させる。現金での利用はできず、スマホにひも付いた電子マネーで支払った。

 アプリで配達員の位置を見守り、待つこと55分。到着を知らせる電話が鳴った。昼時で配達員が少ないのか、時間がかかった印象。会社前で、バイクを止めた男性から袋に入った料理を受け取る。まだ少し温かく、お箸も入っていて、ほっとした。

 海外旅行の際、スーツケースに即席のみそ汁を忍ばせた経験はないだろうか。どこで生まれ育っても、食べ慣れた料理への欲望は変わらない-。ぴりりと辛いマーボー丼をかき込みながら、母国を離れて暮らす隣人たちに思いをはせた。

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