神戸市兵庫区の集合住宅「第2ひろみ荘」で8人が死傷した火災から29日で1週間となった。三畳一間が中心の極小住宅には、元路上生活者(ホームレス)や生活保護受給者ら30人が身を寄せ合うようにして暮らしていた。消火活動で水損した部屋も多く、焼け出された住人の半数以上はまだ元の生活に戻れていない。だが、多くがもう一度、戻りたいと願っている。どんな人でも受け入れてくれた、あの温かな家に。
■“敗者”たちの集う家
築60年の3階建て。第2ひろみ荘の住居は31戸あり、家賃は光熱費込みで4万~4万5千円。もちろん共同風呂と共同便所だ。
神戸では1995年の阪神・淡路大震災後、生活困窮によって路上生活者らが一挙に増えた。第2ひろみ荘はそうした困窮者も受け入れてきた。
火が出たのは1月22日未明。1階南の角部屋から上がった火煙はたちまち住宅を飲み込み、1階の住人10人のうち8人が死傷した。
命からがら逃げ出した3階の住人男性(65)は「やばいと思った」と興奮気味に語る。
死んだ4人のことは何も知らない。話したこともない。でも、第2ひろみ荘の住人ならきっと何らかの事情を抱えて、たどり着いたことだけは分かる。
「来る者拒まず、去る者追わず。ここは昔ながらの『駆け込み寺』みたいな場所やからな」
■人生が崩れる音がした
思えば、男性自身の人生も波瀾万丈だった。
神戸で生まれ育ち、学校を出た後、自衛隊で4年ほど勤めた。その後、大手企業の関連会社を転々とし、55歳でリストラに遭った。「人生がガタガタと崩れ始めた」のはこの時から。
忘れられない女性がいた。キャバクラの女性だった。同僚がのめり込むのを止めようとして、キャバクラに足を踏み入れたのが間違いの始まりだった。
「一目見てタイプだと思ったんです」。女性はそう言って接近してきた。
引き返すのを決めた時には、借金はもうかなりの額に膨らんでいた。「ミイラ取りが完全にミイラになった。まあ、結婚詐欺みたいなもんやったな」
家も土地も売り払って身ひとつで大阪・西成へ。日雇い労働で食いつないだ。還暦を迎えるころに「生まれ育った神戸で人生を終えたい」と戻ってきた。
だが、仕事は見つからず、ネットカフェに寝泊まりするうち、手持ちの金は底を突いた。まだ暑さの残る9月ごろ。約2カ月間、神戸・三宮にある公園で路上生活に送った。
「もうやけくそ。自然に任せて死んでもいいと思った」。その時、路上生活者を支援するNPO法人の職員と出会い、紹介してもらったのが第2ひろみ荘だった。
■負け続けてたまるか
第2ひろみ荘にはさまざまな住人がいる。刑務所からの出所者。生活保護を受けた日に金だけ持って逃げ出してしまう人。どこから来て、どんな人生を歩んできたのか。誰も素性を尋ねるような野暮なことはしない。でも、それが心地いい。
避難中、ネットカフェで火災のニュースやコメントを見た。「貧困ビジネスの犠牲者」。第2ひろみ荘のような極小住宅に対する賛否が話題になっていた。
男性は「うわべだけの“外野”は何も分かっていない」と反発する。
65歳。そろそろ人生の終わりは考え始める年齢だ。助かった命を全力で使い切りたい。「みじめったらしいのはもう嫌。負け続けてるのも悔しい。生きた証しを残したい」と誓う。
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