総合 総合 sougou

  • 印刷
世界記録更新を目指し、開発された新型のバイク=丹波市内
拡大
世界記録更新を目指し、開発された新型のバイク=丹波市内
極限まで軽量化したバイクの部品。日本のものづくりの技術が詰まっている=丹波市内
拡大
極限まで軽量化したバイクの部品。日本のものづくりの技術が詰まっている=丹波市内

 兵庫県丹波市のミニシアター「ヱビスシネマ。」支配人で映画監督の近兼拓史さん(60)=同県西宮市在住=が今夏、米国で開かれるバイクレースの国際大会で世界最速記録の更新に挑む。2019年大会では、六つの世界記録を樹立。映画製作で交流が生まれた日本各地の職人たちが、技術の粋を集めて作り上げた新たなマシンで異国の大地を駆け抜ける。4年越しの挑戦を控え、「楽しさ半分、体力的なきつさ半分だが、『無理だ』と言われるほど燃える」と意気込む。

 レースは、米ユタ州である「ボンネビル・モーターサイクル・スピードトライアルズ」(BMST)。高地にある塩の平原で行われる世界最高峰の速度認定競技会で、アンソニー・ホプキンスさん主演の映画「世界最速のインディアン」(05年)の舞台になったことで知られる。

 近兼さんは、切削工具製造「日進工具」(東京)など数十社とチームを組み、19年8月に出場。50ccと125ccのクラスで挑み、6部門で歴代トップを樹立した。

 神戸市長田区出身。20代の頃、走行中の事故でサーキットレーサーの夢を絶たれ、フリーライターに。自身も被災した阪神・淡路大震災後は、西宮市で災害情報を伝えるラジオ局の運営に携わるなど、幅広く活動してきた。

 映画監督デビューは50代。地震で日常が失われた経験から、下町の暮らしをテーマにメガホンを握ってきた。そのうちの一作が町工場の奮闘を描いた「切り子の詩」(16年)。この撮影を通して、高い金属加工技術を持つ多くの企業と知り合い、BMST挑戦が始まった。19年大会について、「記録は日本の技術者たちの功績」と振り返る。

 大会は新型コロナウイルス禍や荒天で20、22年が中止。開催された21年も物流の混乱でマシンが現地に届かず断念した。4年ぶりとなるレースは、改良を重ねた新型マシン2台で挑む。

 マシンは、ホンダの「スーパーカブ」をベースに設計。エンジンやフレームなどは国内の職人らが100分の1ミリ単位で形成し、外装の型は兵庫県内の加工工場に発注した。快適性や採算性を度外視し、空気抵抗を極力まで抑え軽量化したマシンは全長約3メートル、車幅約50センチの「むちゃくちゃなじゃじゃ馬」。競馬のジョッキーのような姿勢で乗り込み、最高時速200キロ、1マイル平均160キロを目指す。

 「カブは丈夫で長持ちが売りの庶民の足であり、メード・イン・ジャパンの象徴。あえて弱いバイクで勝ち、日本が積み重ねてきたものづくりの技術のすごさと魅力を示したい」と近兼さん。丹波市で映画を撮影し、21年に同市で半世紀ぶりの映画館も開いたことを例に「無理なことほどやりたくなる。レースも映画も同じ」と話す。

 19年の記録達成までの過程をドキュメンタリー作品にしており、いわば「世界最速の映画監督」。本人は「僕はアメリカでは映画監督よりレーサーとして有名」と穏やかに笑いつつ、記録更新に闘志を燃やしている。

 【ボンネビル・モーターサイクル・スピードトライアルズ】米ユタ州で毎年8月に開かれるバイクレースの国際大会。エンジンの排気量や走行距離などでクラス分けがある。国際モーターサイクリズム連盟と米国モーターサイクリスト協会それぞれの世界記録認定の場でもある。

丹波
総合の最新
もっと見る
 

天気(10月27日)

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 50%

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 23℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ