生死を分けたのはシートベルト着用の有無だった-。昨年、神戸地裁であった過失運転致死事件の裁判。法廷に立つ女性(76)に執行猶予付き判決が言い渡された。神戸市内で夫と飲食店を営む女性は、常連客の送迎中に自損事故を起こし、後部座席の80代夫婦が命を落とした。運転は店から数分の距離。「これぐらいの距離なら」と未着用を気に留めなかった。「私が犠牲になっていればよかった」と女性は今も自身を責め続けている。
■ブレーキを踏み間違え
判決によると、事故は2021年7月の夕方に起きた。女性は夫婦宅に迎えに行き、乗用車で店に向かう途中だった。
車は下り坂を時速約20キロで進んでいた。目の前には丁字路交差点。減速しようとペダルに足をかけたが、誤ってアクセルを踏み込んだ。車は加速し、勢いよく坂を下っていった。
慌てた女性は、他の車との接触を避けるため、交差点そばの縁石に乗り上げることで車を止めようとした。しかし、車は電柱に衝突。後部座席の夫婦が頭を打つなどし、搬送先の病院で亡くなった。女性によると、夫は衝撃で前方に投げ出される形となったという。
原因はアクセルとブレーキの踏み間違えとされた。判決で裁判官は、女性と夫婦の生死を分けたのはシートベルト着用の有無だった可能性を指摘。判決前の被告人質問で検察官は「後部座席の人もシートベルト着用が義務なのは知っていましたか」と女性に尋ね、女性は「知っていました」と下を向いた。
■致死率は3・5倍
警察庁によると、21年に後部座席で亡くなった92人のうち、7割近い63人がシートベルトをしていなかった。17~21年の後部座席の事故死傷者をシートベルト着用の有無で分析したところ、不着用時の致死率は、高速道路で着用時の約19・4倍、一般道路で約3・5倍に跳ね上がったという。
死亡に至る要因は、車の天井や前方座席、ドアなどにたたきつけられる「車内部位衝突」が多数を占め、車外に放り出されることも少なくない。
08年の道交法改正で、後部座席を含む全席でシートベルト着用が義務化された。しかし、警察庁と日本自動車連盟(JAF)による「シートベルト着用状況全国調査」では、後部座席利用者の着用率は一般道路で42・9%(全国)にとどまり、兵庫県内は40・9%と全国平均を下回る。
道交法の罰則では、後部座席利用者が不着用の場合、高速道路では運転者に違反点数1点が加点され、一般道路では口頭注意のみとされる。そのためか着用状況の調査でも高速道路の着用率は75・7%(全国)、兵庫県内は73・4%と一般道路を大きく上回る。
■後悔する日々
女性は2人の百日忌に赴き、手を合わせて謝罪した。「謝ることしかできなかった。ただ、謝るばかり」と声を落とす。
夫婦は約40年前の開店直後から店を利用し、年齢を重ねる中で店への自力での訪問が困難になり、女性が車で送り迎えをするようになった。「他のお客さんと話しながら食事することが楽しみと話していた」と女性は振り返る。
謝罪の言葉を繰り返した女性に、遺族は「早く元気になってお店をしてほしい」と語りかけ、女性に形見分けをしたという。
女性は運転免許の再取得をしていない。「寝ていても、お店をしていても、折に触れて2人を思い出す。私のせいでこんなことになってしまった」と自責の念を抱き続けている。
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