眼科の研究や診療などに特化した「神戸アイセンター」(神戸市中央区港島南町2)に、「モシクワ係」という聞き慣れない役職が誕生した。就任したのは、関東在住の人気絵本作家ヨシタケシンスケさん。医療施設に絵本作家が? 異色の組み合わせだが、一体どんな役割を担うのだろう。
■きっかけはスタッフが共感した絵本
同センターは、神戸医療産業都市構想の一環として2017年、ポートアイランドに開設された。基礎研究から患者のケア、社会実証まで取り組むワンストップ施設だ。
ヨシタケさんは神奈川県出身で、13年に絵本作家としてデビュー。今回の企画は、アイセンターを構成する組織の一つ、公益社団法人「NEXT VISION(ネクストビジョン)」のスタッフが、ヨシタケさんの絵本「みえるとかみえないとか」(18年)に強く共感したことから始まった。
同作品では、宇宙飛行士の主人公が目をたくさん持つ異星人たちと出会い、「見える」ことについて考え直す。「神戸アイセンターが目指すものがこの作品に詰まっていたので、声をかけることにした」と同法人の山田千佳子事務局長は説明する。
■「もしくは」と別の伝え方助言
そんな思いにヨシタケさんも共感し、「何らかの形で手伝えたら」と「モシクワ係」を発案した。アイセンターで行われている最先端の研究やその成果などを「もしくはこういう言い方、伝え方もあるのでは」と市民の目線から提案するという。
ヨシタケさんは「とはいえ、私もまだ分かっていないことが多く、具体的なことは決まっていない。同センターの皆さんとお話ししながら、活動をお手伝いできれば」などとメッセージを寄せている。
山田事務局長は「たとえばアイセンターの概念図をヨシタケさん風にアレンジして描いてもらうとか。アイセンターの取り組みを一般の方々に知ってもらい、広げて巻き込んでいけるような展開にしたい」と期待する。
【よしたけしんすけ】 1973年、神奈川県生まれ。デビュー作の「りんごかもしれない」が、第6回MOE絵本屋さん大賞、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。初の全国巡回展「ヨシタケシンスケ展かもしれない」を開催中で、昨夏には関西では唯一となる伊丹会場で開かれた。
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