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丹波・タンボフ交流協会の会長を務める河津雅人さん=丹波市春日町朝日
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丹波・タンボフ交流協会の会長を務める河津雅人さん=丹波市春日町朝日
丹波市とロシア・タンボフ市の交流の記念品=丹波市春日町朝日
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丹波市とロシア・タンボフ市の交流の記念品=丹波市春日町朝日
丹波・タンボフ交流協会の活動を通じて集まったロシアの民芸品=丹波市春日町朝日
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丹波・タンボフ交流協会の活動を通じて集まったロシアの民芸品=丹波市春日町朝日

 ロシアによるウクライナ侵攻で、日ロの外交関係も悪化し、草の根の交流が苦境に立たされている。地名が似ている縁で交流が生まれたロシア・タンボフ市と兵庫県丹波市の「丹波・タンボフ交流協会」はお互いの文化や芸術を紹介する展覧会などを開いてきたが、侵攻後は活動のほとんどが停止を余儀なくされた。それでも、会長の男性は「連帯」を模索する。

 同協会は両市の姉妹都市提携を目指して2018年に丹波市で設立され、美術展や交流イベントなどを開いてきた。会長の河津雅人さん(36)=同市=はウクライナとロシアに留学経験があり、両方の言語を使いこなす。

 昨年2月の侵攻によって作ったばかりの協会の5カ年計画は白紙に。以前のように公的機関の援助は期待できず、丹波市民の理解も得られないと感じた。タンボフ側の活動を担うロシア人男性も「しばらく待つしかない」との考えだった。

 河津さんは「活動再開は数年間は見通せない。ロシアが戦争責任を負うような決着にならなければ、公の交流は難しいかもしれない。プーチン政権は、異なる国の人と心から交流したい人の気持ちもくじこうとしている」と憤る。

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 河津さんはロシア各地にいる友人とは、個人的に連絡を取り続ける。侵攻が話題に上ることはほとんどないが、プーチン政権を支持する人はいない。「ロシアに未来はない」とこぼす若者もいた。

 侵攻後、公私ともにウクライナ人との接点が増えた。日本の報道機関の取材をコーディネートしたり、日本への避難者を支援したり。その中で「ロシア語を聞くことすら嫌」「とにかくウクライナから出ていってほしい」との声を耳にする。ロシア人との交流自体を疑問視されたこともあった。

 だが、河津さんは「プーチン政権を支持しないロシア人もいる。平和を望み、民主主義的な価値観が共有できる限り、国籍を問わず関係を保つ」と話す。同協会ホームページでも、ウクライナ国民や戦争に反対するロシア国民との連帯を表明している。

 和平への道筋が見えない両国だが、「日本文化が親しまれている点は共通する」という。若者は「進撃の巨人」「鬼滅の刃」「呪術廻戦」など日本のアニメや漫画、音楽に触れ、日本旅行を夢見る人も多いそうだ。

 「彼らが夢をかなえるためにも、早く平和が実現してほしい」。協会の活動が制限される中、侵攻開始前から続けるユーチューバーとして、ウクライナ語とロシア語それぞれの字幕を付けた動画で日本文化を発信。国境を超えた交流をつなぎとめようと努めている。

 ■草の根的な交流は続けて

 ロシアによる軍事侵攻は兵庫県内でも、ロシアとの国際交流に、官民問わず大きな影を落としている。

 国際交流団体「兵庫県日本ロシア協会」は毎年1月、在大阪ロシア連邦総領事館などでクリスマスを祝う「新年もみの木まつり」を開く。新型コロナウイルスの影響で2021、22年は中止されたが、今年は実施を検討していた。だが、軍事侵攻を受けて見送った。

 ただ、ロシア語講座や「ロシアを知る会」の講演会は続ける。関係者は「政治情勢とは別に、草の根的な交流は続けていこうとしている」とする。

 洲本市は、ウクライナ侵攻への抗議の意思を示すとして、23年度からの同協会脱会を表明した。ロシア・サンクトペテルブルク市クロンシュタット区との姉妹都市提携は解除していないが、侵攻後は連絡を取っていないという。兵庫県もロシア・ハバロフスク地方と友好提携を結んでいるが、この1年、現地とのやりとりはないという。

丹波ウクライナ侵攻
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