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母校を訪れた若き日の貴景勝に抱きつく前川和裕教諭=2016年4月22日、仁川学院小学校(前川教諭提供)
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母校を訪れた若き日の貴景勝に抱きつく前川和裕教諭=2016年4月22日、仁川学院小学校(前川教諭提供)
大相撲初場所千秋楽で琴勝峰を下し、優勝を決めた貴景勝。春場所で綱とりに挑む=1月22日、両国国技館
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大相撲初場所千秋楽で琴勝峰を下し、優勝を決めた貴景勝。春場所で綱とりに挑む=1月22日、両国国技館

 12日に初日を迎える大相撲春場所(エディオンアリーナ大阪)で、大関貴景勝(本名・佐藤貴信、常盤山部屋、芦屋市出身)が、兵庫勢として110年ぶり2人目の綱とりに挑む。十両、大関への昇進を決めたのは、いずれも春場所。縁起の良いご当所で偉業をと、小学校時代の恩師も期待に胸を膨らませる。

 「勝ちへの執念が尋常じゃなかった。持ち前の負けん気の強さを発揮してほしい」。貴景勝の母校、仁川学院小の前川和裕教諭(45)は、少年時代の姿を思い返してエールを送る。

■運動場の王様

 同校の休み時間は学年を超えて遊び、教員も加わる。貴景勝は年長者に積極的に挑み、ソフトボールで打てないと「もう一回、勝負してや」と食らいついた。ドッジボールで負けた時には「悔しさで泣いていた」と前川教諭は振り返る。

 運動神経は抜群で、年齢を重ねるにつれて「運動場の王様」になった。ドッジボールでは腕力を見せつけ、「彼が本気で投げたら、吹っ飛ばされる子がいた」。速かった足は3年生で相撲を始めても変わらず、サッカーでは巨体を揺らしてドリブル。「結構なスピードで来るもんだから、みんながよけた」と、今でも笑える思い出だ。

 貴景勝は卒業後、報徳学園中学校に入り、3年生で全国中学校体育大会を制覇。埼玉栄高校に進み、2014年に貴乃花部屋(当時)に入門した。

■ある約束

 角界で活躍を始めた後も、前川教諭ら教員との交流は続いた。大関昇進を決めた19年3月には、後援者との祝勝会などで忙しい中、「ちょっとでもいいから学校に寄りたい」と駆けつけた。

 前川教諭は、ある約束を結んでいる。大関になる前のこと。初優勝を飾って母校に凱旋(がいせん)する際、新大阪駅から車で送迎した時のやりとりだ。

 前川教諭「いや~、さすがに横綱になったら来てくれへんやろ?」

 貴景勝「そうなったら終わりでしょ。そんなんは絶対にない。恩を忘れないようにしているから」

 はっきりとした口調だったという。前川教諭は「だからこそ、横綱になって帰ってきてほしい。先のことを考えるのはよくないですが」と待ち望む。

■昇進条件

 貴景勝の綱とりは、今年1月の初場所でも浮上した。昨年11月の九州場所の優勝同点を受け、横綱審議委員会(横審)がハイレベルな内容での優勝を条件と示唆していた。結果は12勝3敗で昇進はかなわなかったが、自身3度目の優勝。横綱照ノ富士が休場する中、26歳が一人大関の威厳を示し、春場所へと望みをつないだ。

 初場所まで横審委員長を務めた高村正彦氏(元自民党副総裁)は退任前、「(春場所では)レベルが高い優勝などと言う人はいないのではないか」と述べた。横審の内規も「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」と推薦基準を示す。

 兵庫県出身の横綱は、明治生まれの第23代横綱大木戸(魚崎村=現神戸市東灘区出身)までさかのぼる。貴景勝自身、相性の良さを自覚する春場所。「今回もいい経験をさせてもらえるように」と、最高峰へまい進する。

阪神スポーツ
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