「取材を受けるべきか、ためらいました。養親との関係が今、彼らが望んだものではないからです」
夫婦そろって養子縁組した関東在住の看護師の40代女性は、そう話し始めた。
約3年前、3歳上の夫と近くの80代夫婦の養子になった。
養父は、民間企業を退職後、不動産や株への投資で成功。娘が2人いるが、独身の長女とは折り合いが悪く、音信がない。次女は遠方に嫁いだ。娘たちには既に生前贈与を済ませた。
近くに住み、緊急のときに駆けつけてくれる養子を探していた。
「同居して介護を求められているわけではなく、近くで手助けならできる。それで財産分与してもらえるなら、自分が稼ぐよりも多く、ありがたいと思った」
結婚相談所で出会った夫は警備員をしている。正社員だが、年収は350万円程度と年齢的には低い。近い将来、里子を迎えて育てたいとも思っている。
養子縁組は、そのことを気にかける結婚相談所の紹介だった。夫も給与が低いことを気にして「ありがたい」と応じた。お互い実親には告げず、夫婦そろって養親と縁を結び、養親の姓に変わった。
しかし半年後、夫が音を上げた。「やっぱり違う名字に耐えられない。自分が自分じゃないみたいだ」
◇
女性は夫の態度にぶぜんとする。「夫はすごく優しいんですけど優柔不断で。私だって結婚で改姓したのに」
夫は養親との縁組を解消し、女性だけが残った。「それはもう養父母と夫は険悪になりました。1カ月以上もめた」と振り返る。
話し合いの中で養父は、姓や墓の継承に強いこだわりをにじませた。女性は「縁組の一番の目的は緊急対応じゃなかった。養父にとっては言わずもがな、養子になるとは当然、そういうことだろうと。結婚相談所にも言っていなかったようです」と話す。
結果、養子の娘が嫁に行っている格好になった。実子の次女と何ら変わらない状態で、養父は落胆を隠さない。光熱費や家賃を払ってもらっていたが、マンションを出ることになり、近くの安い物件に引っ越した。
「実の両親は私が一人娘なので墓もつくらない派。養父があそこまで名前や墓にこだわるのには正直、びっくりした」
◇
今は女性だけが養父母にメールで近況を送ったり、月1回、訪ねたりしている。
「養父母はよく来たねと迎えてくれ、夫のことも最近どうしてるのと聞いてくれますが、内心どう思われているのか不安」と女性。
最近、実子である次女が関東に戻ってきたこともある。「私がいる必要性はもうないんじゃないかな。でも一度は契りを交わしたので、解消したくない」と願う。「私は職業柄、人は年を取っても在宅で長く過ごせるほうがいいと思うので、できるだけ養父母を手助けしたい」とも。
記者は養父に電話で連絡を取った。養父は女性が話した通り、名前や墓への思いを語り、女性の夫に対し「裏切られた気持ち」と語った。
取材を申し込むと「もう、あまり養子縁組のことは考えたくないんです」と断られた。そして「養女は本当によくしてくれ、そのことは感謝しています。でも、この養子縁組は、私たちが望んでいた形ではない。非常に不完全な状態」と言葉少なに語った。
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