昨年12月、18歳未満では兵庫県内初となる脳死下での臓器提供が行われた。ドナー(提供者)は男子高校生。家族や医療関係者の言葉を通して、子どもの臓器提供を巡る課題を探る。
その手記には、二つの感情に引き裂かれ、もがき苦しむ母の率直な思いが記されていた。
移植することが息子の生きた証になるはずだ
けれど相反して「悲しい」「苦しい」気持ちが、狂うほどに私の身体中を渦巻いた
昨年11月、一人の男子高校生が一時心肺停止となり、神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)に入院した。心拍は戻ったが、意識や自発呼吸はない。低酸素脳症と診断された。高校生の両親と兄弟は、脳死下での臓器提供を決断するまでの葛藤を手記につづった。
「脳死とされうる状態です」。手記によれば、医師にそう告げられた時から、母の胸の内には臓器提供の可能性が芽生えたようだった。ただ、本人の生前の意思を示すものは何もない。母の心はかき乱された。
誰かに(体の一部を)あげるために食べさせてきたんじゃない、オムライス、ハンバーグ、卵焼きにお好み焼き。みんなあなたに大きくなって欲しくて、好きだって言ってくれるからたくさんたくさん作ってきたんだよ
医師の説明からほどなく、兵庫県臓器移植コーディネーター、杉江英理子さん(44)に連絡が入った。
臓器提供を円滑に進めるための橋渡し役であるコーディネーターは、苦悩する家族らに情報を提供、意思決定の過程に寄り添い、精神的ケアも担う。
「患者さんの置かれた状況を家族は非常に受け入れがたく感じている」。杉江さんの目にはそう映った。
まずは父と話す。家族3人が率直に話せるように別々の機会をつくった。制度を説明し、それぞれの疑問や不安に丁寧に答えた。
男子高校生の兄弟は、臓器提供の提案を「ひとつの未来のあり方」と感じながら、一方で複雑な思いもあった。手記にこう書き残している。
(臓器提供は)この状況で留まってくれている彼の命をこちらが終わらせることを意味していました。さらに、私にとっては聞いたこともない組織に彼の臓器を預けることになる(中略)怖いし、恐ろしいし、どこまでそこを信用してもいいかも分からない
答えのない問いに家族一人一人が向き合い、悩みに悩み抜いて、臓器提供を決めたのは入院から1カ月以上がたったころ。なぜ決断したのか。一つの答えが兄弟の文章にあった。
家族の中で「私たちの彼」だけではなく「みんなの彼」になってもらおうという話が出てきました。(中略)やっとその考え方で前に進もうという気持ちも出てきました
12月11日、家族は臓器提供に同意する書類を提出する。2回の脳死判定を経て、18日に心臓、肺、肝臓、腎臓、眼球を摘出。移植を待つ患者の一部になった。
父はこう記す。
これから彼の命はただひとつの命から、国内各所で新たな息吹を得て、続いていく多くの命となります。その命が新たな未来をつくっていくことを切に望まずにはいられません
【臓器移植法】1997年10月に施行され、日本で脳死下の臓器提供が可能になった。2010年の改正で、本人の意思が不明でも家族の承諾のみで提供できるようになった。また15歳未満の提供もこの時からできるようになり、小児の心臓や肺移植の道が開けた。
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