国の文化審議会（佐藤信会長）は１７日、国登録有形文化財（建造物）に新たに１４７件を加えるよう永岡桂子文部科学相に答申した。兵庫県内では、芸術家の故綿貫宏介氏の茶室「無汸庵（むほうあん）」（神戸市東灘区）など３カ所計４件が選ばれた。

　県教育委員会によると無汸庵は、神戸発祥の老舗菓子店「本高砂屋」など数々のブランド意匠を手がけ、２０２１年に９４歳で亡くなった綿貫さんが自宅に設けた。建築は１９６９年。鎌倉時代の山家に着想したとされ、庭には緑が多く、お堂のような宝形造（ほうぎょうづくり）の屋根が特徴だ。傘を広げた様子に似た形の天井、簾（すだれ）をはめ込んだ簾障子なども目を引く。同年代の建築とは一線を画す芸術性が評価された。

　ほかに選ばれたのは、有馬温泉街（神戸市北区）にある木造３階建ての旅館「橋乃家本館（はしのやほんかん）」▽姫路市網干区にある真言宗寺院「徳壽院（とくじゅいん）」の本堂と薬師堂－の２カ所計３件。県内の同文化財は計２２６カ所７５３件になった。