ＷＢＣ準決勝での日本の鮮やかな逆転サヨナラ勝ちに、兵庫県出身の山田哲人（豊岡市出身）と大勢（本名・翁田大勢＝多可町出身）の家族も興奮を隠せなかった。

　１点を追う九回、大勢がマウンドに上がった。１点も与えられない場面。「頼むで」。自宅のテレビの前で父八寿男さん（５５）が緊張する中、無失点に抑えて流れを呼び込んだ。３人きょうだいの末っ子が見せた快投に、父は「想像もしていなかった世界にいる」と感嘆した。

　勝ち試合の後はいつも「ナイスピ（素晴らしい投球）」とＬＩＮＥ（ライン）をするが、この日は自然と「やったー」と書き加えた。決勝が行われる２２日は仕事で、「どさくさに紛れて見られたら」と笑った。

　山田の父知規さん（６４）も自宅でテレビ観戦した。２安打の活躍に「『国際試合に強い』と言われるが、意識し過ぎるなよと思っていた。落ち着いていた」と胸をなで下ろした。

　同じヤクルトで不調だった村上宗隆が決勝打を放ち、息子と抱き合う姿が印象的だったといい、「ぐっときた。苦しかったと思う」と思いやった。山田も打率を３割に乗せて復調。父は「点に絡むような活躍を期待したいが、まずは普段通りのプレーを」と願っていた。（有島弘記、初鹿野俊）