• 印刷
世界一が決まった瞬間に涙を流して歓喜する野球ファンら=22日午前、神戸市中央区下山手通1
拡大
世界一が決まった瞬間に涙を流して歓喜する野球ファンら=22日午前、神戸市中央区下山手通1

 侍ジャパンが強敵米国との熱戦を制し、3大会ぶり3度目の世界一を勝ち取った。日本列島が歓喜で沸く中、神戸でも朝からスポーツバーにファンが殺到。大舞台で躍動する「ヒーロー」たちの一挙手一投足に熱い視線を注ぎ、優勝を決めた瞬間には割れんばかりの声援が店内を包んだ。「漫画みたいな展開。めっちゃえぐいやん」と叫び、涙を流すファンらとともに今大会を振り返った。

 神戸市中央区のスポーツカフェバー「STADIUM(スタジアム)」は約40席が予約でいっぱい。立ち見が出るほどの盛況で試合の途中にも続々と来店し、朝から熱い声援が送られた。

 準々決勝に続いて「神様」が日本を救った。日本は先制を許した直後の2回、5番村上宗隆が打った瞬間に「それ」と分かる特大アーチを右中間2階席に放ち、試合を振り出しに戻した。神戸のファンたちは「『村神様』待ってたでぇ」と沸き上がり、声援にも熱が増した。

 さらに、岡本和真、源田壮亮のヒットなどでつないで一死満塁とし、今大会で一躍人気者に躍り出たL・ヌートバーの内野ゴロで勝ち越した。4回には岡本がレフトへのソロで差を2点に広げ、アメリカを攻め立てた。

 安打数を見ると、アメリカの9本に対し日本は5本。再三ピンチを背負うも、店内の声援はやまなかった。投手7人がマウンドに立ち、まさに総力戦でアメリカ打線の圧倒的なパワーをはねのけた。

■8、9回。夢のような継投

 そして、最終盤。8回にダルビッシュ有、9回に大谷翔平へとつなげられた投手リレーは、野球ファンにとって夢のような継投だった。

 9回二死、一発出れば同点の場面で大谷が対したのはエンゼルスの同僚M・トラウト。1球ごとに店内は熱くなる。追い込んでから投じたボールはトラウトのバットを避けるように外角へと大きく曲がり、ミットの中に入った。ゲームセット。ファンたちのボルテージは最高潮に達し、涙を流して世界一をたたえた。

 ダルビッシュと大谷を日本ハム時代から応援し、1次リーグの中国戦も現地観戦したという大学4年の男性(22)=神戸市中央区=は「こんなことありえるんや」と食い入るように大画面を見つめ「ダルさん、大谷さん、ほんまにありがとう」と涙を浮かべた。

 大谷の本拠地「エンゼルスタジアム」での観戦経験もあるほどの大ファンだといい、大会MVPに輝いた大谷には「漫画の主人公みたいや。とにかくすごすぎる」と拍手を送った。

 兵庫県出身の2選手も躍動した。豊岡市出身の山田哲人が盗塁を決めると「哲人ほんまかっこええわ」と歓声が飛んだ。7回を任された多可町出身の大勢も無失点で切り抜け、2人の「大投手」にバトンをつないだ。

■監督の采配に脱帽

 試合終了後も店ではファンたちが勝利の余韻に浸り、侍ジャパンの戦いを振り返った。

 「宮崎での強化合宿の時から強い連帯感が生まれていた印象」と話すのは、オリックス・バファローズのユニホーム姿で観戦した男性(29)=同市中央区。ダルビッシュが若手選手らとの夕食会の様子などをSNSで発信しているのを見たといい「精神的支柱を担っていたのは間違いない。ベテランとして円滑なコミュニケーションを促してチームを勝利に導いてくれた」とねぎらった。

 広島カープファンの男性会社員(23)=神戸市中央区=は、広島の栗林良吏の離脱などハプニングもあった中で、栗山英樹監督の手腕に注目。「監督の采配には脱帽。不調であえぐ村上を最後まで打席に立たせ続けた信頼感なども確かな勝因の一つ。選手を信じる気持ちが勝利を引き寄せた」と絶賛し、「選手、監督ともに最高のチームでした」と目を細めた。

 STADIUMの山口亮店長は「野球はさすが国民的スポーツといったところで、サッカー・ワールドカップ(W杯)と比べて年齢層が高めの人も多く、幅広い世代に利用された」と振り返り、「村上選手、大谷選手の活躍がドラマチックだった。特に村上選手は、14年前にイチローが不振に耐え、ヒーローになったあの大会をほうふつとさせた」としみじみと語った。

スポーツ神戸
もっと見る
 

天気(10月27日)

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 20℃
  • ---℃
  • 50%

  • 23℃
  • ---℃
  • 10%

  • 23℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ