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旧優生保護法訴訟の控訴審判決で、逆転勝訴を喜ぶ原告の小林宝二さん(前列左)と鈴木由美さん(前列右)=23日午後、大阪高裁
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旧優生保護法訴訟の控訴審判決で、逆転勝訴を喜ぶ原告の小林宝二さん(前列左)と鈴木由美さん(前列右)=23日午後、大阪高裁
判決言い渡しを前に裁判所へ向かう原告や弁護団ら=23日午後、大阪市北区(撮影・小谷千穂)
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判決言い渡しを前に裁判所へ向かう原告や弁護団ら=23日午後、大阪市北区(撮影・小谷千穂)
判決言い渡しを前に裁判所へ向かう原告や弁護団ら=23日午後、大阪市北区(撮影・小谷千穂)
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判決言い渡しを前に裁判所へ向かう原告や弁護団ら=23日午後、大阪市北区(撮影・小谷千穂)
判決言い渡しを前に裁判所へ向かう原告や弁護団ら=23日午後、大阪市北区(撮影・小谷千穂)
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判決言い渡しを前に裁判所へ向かう原告や弁護団ら=23日午後、大阪市北区(撮影・小谷千穂)

 旧優生保護法(1948~96年)下での強制不妊手術は憲法違反として、兵庫県の5人(うち2人死去)が国に計1億6500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が23日、大阪高裁であった。中垣内健治裁判長は、訴えを退けた一審神戸地裁判決を変更し、国に総額4950万円の賠償を命じた。一審判決は、20年で原告の損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を適用したが、大阪高裁判決は認めなかった。

 国への賠償命令は7件目。今年に入り、熊本、静岡、仙台の3地裁と札幌高裁が賠償を命じており、政治的解決を求める声が強まっている。

 中垣内裁判長は、原告らの除斥期間の起算点は不妊手術を受けた時点としたが、国は優生施策の推進で社会的な差別、偏見を助長したとし、原告らが賠償を求める権利を困難にする状況をつくり出したと指摘。「著しく正義・公平の理念に反する」として、除斥期間を適用しなかった。

 その上で将来、国が旧優生保護法の違憲性を認めるか、違憲性を認める最高裁判決が確定するか、いずれかの時期から6カ月間は賠償請求権は消滅せず、除斥期間は適用されないという初の判断を示した。

 また、旧優生保護法に対しては子どもを産み育てる意思決定の機会を奪い、「立法目的が極めて非人道的だ」として明確に憲法違反と指摘。法律を成立させた国会議員に対して、過失があるとも述べた。

 神戸地裁の訴訟は2018~19年、聴覚障害がある小林宝二さん(91)と妻の喜美子さん=当時(89)、聴覚障害がある80代の夫婦、脳性まひがある鈴木由美さん(67)が提訴。20年に80代夫婦の夫が、22年に喜美子さんが亡くなり、配偶者が賠償請求権を承継した。

 大阪高裁判決は原告3人に、それぞれ1650万円を支払うように命じた。賠償額の内訳は、手術を受けた喜美子さん、80代夫、鈴木さんに各1430万~1650万円。配偶者の小林さんら2人は各220万円とした。

 全国被害弁護団共同代表の新里宏二弁護士は、違憲性が確定するまで除斥期間を適用しないとする大阪高裁の判断理由を「全被害者が救済されるための論理。画期的な判決だ」と話した。厚生労働省は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。

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