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ベランダを覆うネットを取り付ける業者=明石市内
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ベランダを覆うネットを取り付ける業者=明石市内
公園を散歩するハトの群れ=明石市内
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公園を散歩するハトの群れ=明石市内
ベランダに産み落とされた卵=明石市内
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ベランダに産み落とされた卵=明石市内

 「ハトは平和のシンボル」。そうつぶやきつつ、何度ため息をついたことか。ここ数年、ハトに関するトラブルが急増しているとは聞いていましたが、まさか、わが家のベランダに…。ちょっとした騒動の一部始終を聞いてください。「あすはわが身」だと思って。(小西隆久)

 「ハトの鳴き声がうるさくて眠れない」

 長女がそんな訴えを口にし始めたのは3年ほど前。「ハトは夜に巣へ帰るから、こんなところにはおらへん」と返したが、確かに娘の部屋から鳴き声がよく聞こえるとは思っていた。

 わが家は、明石市内にある14階建てマンションの4階。周辺には中高層マンションが立ち並んでいる。近くには公園があり、えさを求めて集まるハトを目にしていた。

 娘の部屋は、車通りが多い県道に面し、窓の外にエアコンの室外機などを設置する小さなベランダがある。奥行き約60センチ、幅約2メートルで、人が簡単に降りられる構造ではない。

 窓から身を乗り出して見ると、所々にふんが。すぐに「ハトよけ」のグッズを購入した。キラキラと光る棒状で千円程度のもの。必死の思いでベランダに降り、手すりにくくりつけた。

 しばらくは「鳴き声が聞こえない」と長女。もう大丈夫と油断していたが…。

 昨年6月になり、長女がハトの鳴き声から不眠気味になった。ベッドのそばにある通気口から、ふんのにおいもするという。よく見ると、ベランダに卵を産んでいるではないか。ハトが飛び立つと、直径約2センチの卵がぽつんと残されていた。

 調べると、自治体の捕獲許可を得ずに卵を取り除くと鳥獣保護管理法に触れ、条文では100万円以下の罰金、もしくは1年以下の懲役…。頭を抱えた。

 「素人では無理」と判断し、早速、近隣の駆除専門業者を呼んだ。

 「巣を作ってますね。一度作ると、その後も同じ場所に巣を作り続ける確率が高いんです」

 業者の男性が説明してくれた。まさか。公園に巣を作るとばかり思っていた。

 業者によると、市販の忌避剤では効き目に限界があり、ハトを完全に寄せ付けないためには巣や卵、ふんを撤去し、ネットを張るしか方法はないという。

 ベランダの広さにもよるが、価格は数万円から10万円程度。悩んだ末、腹をくくって卵の駆除など一式を注文した。

 作業は1日がかりだった。床や室外機にこびりついたふんはポリ袋2袋分にもなり、ハトがすり抜けられない大きさの目のネットを設置した。作業中、親らしきハトが近くのビルから恨めしそうにこちらを見つめている。少しかわいそうになったが、以後、ハトが近寄ることはなくなった。

     ◇

 神戸市によると、ハトに関する相談は年々増え、2017年度に105件だったのが21年度には4倍の414件に。「害鳥」の代表格とされるカラスの312件を上回る。大半がふんや営巣に関する内容で、明石市でも同様の傾向という。

 ちなみに、害鳥対策を専門とする会社「グリーンフィールド」(大阪府箕面市)に聞くと、国内で主なのはキジバトとドバトの2種類。ドバトは、西日本では年中繁殖するため「空飛ぶネズミ」とも呼ぶらしい。

 同社の田中和博さん(50)は「ハトのふんには有害な病原菌が含まれており、健康被害の恐れもある。共存は必要だが、居住空間が近すぎると人間もハトも不幸になる」と話していた。

 今回、手痛い出費とともに、人と動物が快適に共存する難しさが身に染みました。

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