神戸連続児童殺傷事件をはじめ、重大少年事件の記録が各地の家裁で廃棄されていた問題で、東京弁護士会(東京)は「少年保護事件記録の適正な保存を求める意見書」を最高裁長官などに出した。今月27日付。特別保存(永久保存)する意義について外部の意見も聴き、少年事件記録で独自の保存基準を設けることなどを求めている。
同弁護士会は意見書で、少年事件は発生直後こそ報道されるが、少年審判が非公開で審判記録の閲覧は許されず、事件の背景事情を知る機会がないと指摘。警察官、検察官、調査官、鑑定医など多くの関係者で作成される記録はその全体で事件の全容が分かるため、「家裁の一存で廃棄され続けていたのは極めて問題」と批判した。
その上で、国家権力を行使する裁判所で審判される少年事件の記録は、「主権者である国民の批判の対象となるべき公文書」と主張。少年事件記録の閲覧を法的にどう許すかはただちに解決できないが、廃棄は、将来にわたり誰も閲覧できない致命的な事態につながるとした。
また、重要な事件記録の永久保存に向け、記録の表紙に事件を担当した裁判官や書記官、調査官らが意見を述べる欄を設けたり、現在は家裁が決めている保存対象を最高裁も独自の判断で指定したりする仕組みを提案。一般市民が裁判所に永久保存の要望をできることも周知するよう求めた。
日本弁護士連合会(東京)によると、東京弁護士会は都内に三つある弁護士会の一つで、今月1日時点で全国最多の9078人が所属。意見書は伊井和彦会長名で、最高裁長官、東京家裁所長、法務相、東京地検検事正に宛てて発送された。(霍見真一郎)
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