30年間、万引を繰り返してきた母親と向き合った経験から、支援の手が届きにくい障害者の自立を支援するグループホームを開いた男性がいる。神戸市垂水区出身の田村匠さん(41)。精神疾患を抱える母親の再犯を、家族だけで防ぐのは限界だった。障害や犯歴のある利用者を受け入れつつ、「いずれは罪を償い終えた母にもここで暮らしてもらいたい」と願っている。
大阪市生野区のワンルームマンション上階に、障害者グループホーム「ぴあほーむOSAKA」で暮らす住人たちの部屋が並ぶ。利用者は軽度の知的・精神障害がある20~60代の男女8人。過去に性犯罪や薬物犯罪で法に触れた人もいる。
「部屋は別々だけど、食事は皆で食べるので、一つの家みたいな感じ」と田村さん。日中はそれぞれ就労支援施設で働くが、朝と夜は食堂に集まって手作りの料理を食べてもらうのがこだわりという。
金を使い込んだり、隠れて酒を飲んだりといったトラブルも日常茶飯事だ。14人のスタッフが交代で支援や指導に当たる。
■一室は母のために
田村さんは大学生の頃から、万引に手を染める母親をそばで支えてきた。被害店舗で一緒に頭を下げたり、拘置所でアクリル板越しに話したりした。精神科での治療も試したが、再犯は止まらなかった。
ただ、最後の万引をした後、精神障害者のグループホームやカウンセリングを利用し、母親の生活態度に変化が表れたことが希望だった。「適切な治療や福祉などの社会的な支援にもっと早く出合えていたら」
昨年11月、そんな思いに共感してくれた社会福祉士の福留知代さん(45)や公認心理師ら専門職のスタッフとグループホームを開いた。9室のうち8室はすぐに埋まったが、残り一部屋は母のために空けてある。
■毎日を必死に…
今年2月に入居した40代男性は、過去に性犯罪を繰り返し、最近まで服役していた。「先を考えすぎるとプレッシャーでつぶれそうになる。今は一日一日を頑張って過ごしていきたい」と話す。
福留さんは「犯罪を繰り返す人の中には、過去に虐待やいじめを受けていた人も多い。まずは家庭の温かさを知ることが大切だ」と強調する。たこ焼きパーティーを企画したり、家族のように真剣に叱ったり。最近は利用者が互いに声を掛け合う場面が増えてきたという。
「ここの人たちは母と同じような『生きづらさ』を抱えている」と田村さん。「居場所をつくって、利用者同士、互いに必要とされている感覚を得てほしい。それが再犯を防ぎ、社会復帰につながると思うんです」と力を込める。
◆
出所後、身寄りがなかったり、適切な福祉を受けられなかったりして障害者や高齢者が孤立するのを防ぐため、各県に設置されているのが「地域生活定着支援センター」だ。ぴあほーむにも、同センターからの依頼で受け入れた元受刑者がいる。
同センターは、出所後に暮らす予定の自治体の調整や、受け入れ先の大家や施設との交渉、トラブルの対応などに当たる。兵庫県のセンター「ウィズ」は2010年に開所し、21年度は86人を支援した。
森喜久男所長(72)は「私たちのような相談相手がいて、地域で安定した生活が送れるようになれば多くの人は再犯をしない。ただ、大家や施設側に受け入れてもらいにくいという課題もあり、社会全体の理解を深めていく必要がある」と話す。(井沢泰斗)
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