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ひょうごボランタリープラザが熊本地震後に企画したボランティアツアー。バスには救援物資も積み込まれた=2016年4月、神戸市中央区東川崎町1
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ひょうごボランタリープラザが熊本地震後に企画したボランティアツアー。バスには救援物資も積み込まれた=2016年4月、神戸市中央区東川崎町1
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 兵庫県の外郭団体「ひょうごボランタリープラザ」(神戸市中央区)は、東日本大震災や熊本地震などの被災地支援を後押ししてきたボランティアバス事業を3月いっぱいで廃止した。阪神・淡路大震災の経験と教訓を生かす先進的な取り組みとして、8年間で6千人を超えるボランティアが活用したが、運営資金の減少が見込まれる中、復興に一定の道筋が立ったと判断した。(上田勇紀)

 2015年度に始まった「被災地『絆』ボランティアバス活動支援事業」。同プラザは東日本大震災の発生(11年)直後からボランティアバスを現地に派遣しており、長期的な支援の形として新設された。

 毎年当初予算に約4千万円を計上し、借り上げバス費用を負担・助成。自前でバスを用意する団体には、1台あたり最大32万円を支給していた。

 対象は、東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨の被災地で、高齢住民が孤立しがちな仮設住宅や復興住宅に赴き、炊き出しや清掃、イベントなどを行う団体。高校生や大学生らも現地で汗を流した。

 初年度に59団体1639人が活用。その後もほぼ毎年、千人以上が利用した。新型コロナウイルスの感染が拡大した20年度以降は低迷したが、8年間で県内211団体6359人の「足」に。同プラザによると、県外の支援にこれだけの予算を充てる事業は全国的にも珍しく、被災経験のある兵庫ならではの試みとして注目されてきた。

 同プラザが廃止理由に挙げたのが運営資金の問題。NPOやボランティア支援といった同プラザの主な事業は「ひょうごボランタリー基金」の運用益で成り立っている。同基金は、社会福祉や大災害に備える過去の寄付などを原資とし、残高は96億2600万円(3月10日時点)。運用益は年約2億円だった。

 ボランティアバス事業は急を要することなどから運用益だけでなく、基金本体も取り崩したため、基金は1億円以上目減り。今後は低金利になることが見込まれ、運用益の減少など財政に余裕がなくなりそうだという。

 同プラザの芳永和之所長は「南海トラフ巨大地震など将来に備え、これ以上の基金取り崩しはやめることにした。東北や熊本では、一定の復興が見えてきている。今後、他府県で大規模な災害が起こった場合には県と協議し、その都度必要なボランティアバスを用意したい」と話す。

 一方、同プラザは16年度に始めた「ひょうご若者被災地応援プロジェクト」を継続する。15~34歳を中心とするグループが東北などの被災地で活動する場合、最大20万円を助成するもので、23年度は100万円を予算計上した。ホームページで案内している。

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