兵庫県は２０２３～２７年度の「ひょうご新観光戦略」を策定した。インバウンド（訪日客）を中心に観光客の長期滞在を促すため、食や文化を育んだ地域の風土、人の営みに触れる「兵庫テロワール旅」を一層打ち出していく。２７年度に外国人の観光消費単価を倍増させるなどし、観光消費額の目標値は新型コロナウイルス禍前の１９年度比で１５％増の１兆４５００億円に据えた。（金　旻革）

　従来は３年ごとに戦略を見直してきたが、２３年度から５カ年で定めた経済政策方針「ひょうご経済・雇用戦略」と計画期間を合わせた。２５年大阪・関西万博を奇貨とした誘客の促進と「万博後」のリピーター獲得に向けた取り組みを強化する。

　数値目標はこれまで観光入込客数を指標の中心に据えたが、持続可能な地域活性化につなげるため平均宿泊数や消費単価の伸びを重要視する。

　県内の平均宿泊数は１・２２泊だが、上位３都府県（沖縄、京都、東京）並みの１・５泊達成を目指す。消費単価は、伸び代が期待できる外国人について、１９年度の１人当たり約３万円から２倍の６万円に設定。全国で４１位と低迷する現状のてこ入れを図る。

　主な取り組みとしては、テロワール旅にふさわしい旅行商品の開発や、万博に向けた体験型観光事業「ひょうごフィールドパビリオン」の認定プログラムを支援。また、サイクルツーリズムや自然を生かしたアドベンチャーツーリズム、防災ツーリズムなどの多様な価値観に「刺さる」観光を進める。県内にある古民家ホテルを拠点に、日本ならではの風景や体験を楽しめる観光商品づくりにも力を入れ、外国人富裕層の興味をかき立てる仕掛けを練っていく。