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卵の値上がりは玉子焼の店にも影を落とす=明石市花園町3
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卵の値上がりは玉子焼の店にも影を落とす=明石市花園町3
スーパー店頭で高値が続く卵=神戸市内
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スーパー店頭で高値が続く卵=神戸市内

 全国の養鶏場での鳥インフルエンザ拡大の余波で、鶏卵の価格高騰が続いている。影響は明石名物「玉子焼」(明石焼)から神戸スイーツ、学校給食にまで及ぶ。スーパーの店頭価格は1年前の1・7倍まで上がった。各地で悲鳴が上がる中、鳥インフルに警戒を続ける養鶏農家は神経をすり減らしている。

再度の値上げを我慢

 玉子焼はたこ焼き以上に卵を多く使う。玉子焼を販売する「明石夢工房」(明石市花園町3)を経営する古志利宗さん(48)によると、卵の仕入れ値は10キロ当たり千円上がったという。

 昨年12月、エネルギー高や小麦、タコの値上がりに伴い、店内飲食の10玉入りを580円から630円に変更した。そこに、年明けからの卵の値上がりが追い打ちをかける。

 再度の値上げを我慢しているという古志さんは「他の相場では仕入れ値が5千円上がったところもあると聞く。いつまで高値が続くのか」とこぼす。

プリンやケーキの販売休止

 洋菓子のモロゾフ(神戸市東灘区)は2月、カスタードプリンのミニサイズやミニケーキなどの販売を休止。今もミニケーキは再開できていない。「仕入れ値の高騰以前に手に入らない。プリン、(ケーキの)スポンジ、焼き菓子にも響く」と山口信二社長。「人の往来が増えて売り上げを伸ばせそうなのに、売るモノが用意できない」とこぼした。

卵料理の献立ほぼ消える

 影響は学校給食にも。小学校で1日約8万食を提供している神戸市では、4月からの新学期、給食のメニューに卵を使った料理の献立がほぼ消えた。

 同市立小学校では、3月までは月2回の卵料理が給食に出ていたが、4、5月はゼロに。6月は1度だけ卵料理が出る予定という。市教育委員会健康教育課の担当者は「業者からは『いくらお金を払っても、卵自体が確保できない』と言われている。来春までは見通しが立たない」と話す。

 一方、姫路市や尼崎市では、今のところ献立に影響は出ていないという。

     ◇

 兵庫県内のあるスーパーでは、10個パックの店頭価格を1年前の190円前後から、320円ほどに引き上げた。担当者は「価格を上げて購買数を抑えて、品切れを防いでいる」と打ち明ける。2月には品切れする店舗も出た。特売は昨年末からできない中、サイズがふぞろいのパックも作って対応する。

 スーパー「トーホーストア」を展開するトーホー(神戸市東灘区)の担当者は「仕入れ価格が安定した『優等生』だったはずが、野菜のように値が動く」と困惑。供給不足の長期化で、菓子やマヨネーズなど加工品の調達にも影響が出そうといい、「物価高も続く中で、特売商品の選択肢がさらに狭まりそうだ」と頭を悩ませる。

(松本寿美子、広岡磨璃、高田康夫、大盛周平)

感染対策に悩む養鶏農家、飼料高も追い打ち

 全国の目安となるJA全農たまごの卸売価格(東京地区、Mサイズ基準値)は、3月平均で1キロ当たり343円と前年比約1・8倍に高騰。比較可能な1993年以降の最高値を更新、さらに値上がりを続ける。

 農林水産省によると、全国の養鶏場で殺処分された鶏は今季(昨年10月以降)、昨年11月にたつの市の養鶏場で発生した事例を含め、1月には1シーズンで初めて1千万羽を突破。4月に入っても感染は広がり1770万羽を超え、国内の採卵鶏の1割を上回る。

 養鶏農家は、防鳥ネットや消毒などを徹底する。感染拡大で、冬場の4カ月ほどだった警戒期間は半年以上に延長。昨年からのロシアによるウクライナ侵攻に伴う飼料高も追い打ちをかける。同市で養鶏を営む県養鶏協会の中山晋吾会長(62)は「対策の精神的、肉体的な負担は増えるばかり。経費の約6割を占める飼料高も先が見えず、費用の打撃も大きい」と頭を抱える。(三宅晃貴)

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