「ベッドで寝ることで健康に、そして幸せになってほしい」

　高級ベッドなどを扱うシモンズ（東京都港区）の社長を２００８年から務める。今後はアジア全域の中間層にも、その寝心地の良さを届けることを目指す。

　兵庫県朝来市出身。兵庫県立生野高校を卒業後、信州大繊維学部に進んだ。アパレル会社や他のベッドメーカーを経て、１９９０年に３６歳でシモンズに。当時、同社で袋にコイルが一つずつ包まれた「ポケットコイル」を使ったベッドが、高額にもかかわらず売れていた。試してみると、一つ一つのコイルが独立して加重が分散され、とても寝心地が良かった。「この時代が来る」という直感を信じ、転職を決断した。

　入社当初は長野県の松本営業所で、事務員と２人で働き始めたが、「新しいことをやってやる」との創業精神で業績を伸ばした。他の営業所にもアドバイスするうち、東日本の営業をまとめる立場になり、社長にまで駆け上がった。

　大学進学のためＪＲ播但線の新井（にい）駅に立った時、「いよいよ、これで故郷と離れるんだ」という覚悟を決めた。いま思えば、「その体験がチャレンジ精神の出発点のような気がする」と振り返る。（堀内達成）